「不健康」と言ってしまうと一寸語弊が有るかもしれませんが、数あるスポーツの中で「体重増加」を最優先に近い扱いにしているスポーツって、多分相撲くらいじゃ無いだろうか。例えば、柔道でも無差別級というのはあるけれど、体重別に階級制があるから全員が全員体重増加を目指すわけでも無いし、無差別級でも100kg超えではあるけれど、大体一番重い人でも120~130kg位、普通は110kg前後が多いのでは。それは、相手を倒して一本なり技割りなりを取らないといけないから、余り重くなりすぎて機動力が無くなっては試合が出来なくなるから。フットボールで言えば、OL当たりが相撲に近いかなと以前から思っていて、確かにオールジャパンクラスになれば120kgから130kg近い選手も多い。でも、かれらは正面のDLと立ち会うだけで無く、プルアウトとしてオープンにでたり、ダウンフィールドに出たりと、少なくとも近代フットボールでは「走れないOL」使えない。それも1プレーだけで無く、何プレーも続くわけです。それに、柔道の場合は、とにかく相手を畳に倒さないと得点に繋がらないけれど、相撲の場合は相手を土俵から押し出せば勝利。と言う事は、スピードも重要だけれど、体重を増やして重さと力で押し切るという手段も有効なわけで、これが他のスポーツとの大きな違いじゃないかと。
相撲取りの場合、過去には小錦関(現KONISHIKI)が300kg近く(Wikiだと最大で285kg)の体重で取組をしていたけれど、やはりあそこまで体重が増えてしまうと、繰り出せる技も限られてしまう。調べてみたら、横綱の白鵬関が154kg(192cm)となっていて、やはりそれなりに動けて体重も利用出来る限界は140~150kg位じゃないかと。ただ、OLとかDL等の体格の良い選手に無呼吸症候群の人が多いように感じるように、相撲取りの人にも無呼吸症候群が多いことはよく言われているので、やはり体重過多というか無理はしていると思う。今回無くなった勝武士さんは、164cm/108.6kgと、110kg近く有りながら身長は164cmと小兵。同じく小兵力士の舞の海氏が171cm/101kg、現役の炎鵬関が168cm/96kgと、勝武士さんよりも身長は高いけれど(でも、多少下駄履かせていると思うが-笑)、体重は10kg近く少ない。体型を見ても、勝武士さんは典型的な「あんこ型」だけれど、舞の海・炎鵬関は結構筋肉質。別に筋肉質なら病気をしないわけでは無いけれど、やはり健康的に無理があったような気がするし、それが結果的に最後の踏ん張りがきかなかった一因じゃ無いかという気もします。
確か国技館の地下には診療設備があって、力士の人も健康診断とか場所で受けた怪我の治療とかやっていたはずで、相撲協会としても十分に健康管理はしているだろうけど、やはり勝負に勝つためとはいえ必要以上に体重を増やしていることは事実。自分のように、不摂生でメタボになっているのとは大違いだけれど、リスクが高いことは事実でしょうね。そう言う意味で、今後の本場所や巡業にはかなりの配慮が必要な気がする。一部報道では、当初保健所に繋がらず、診察しても検査を受けられなかったことを強調しているものがあるけれど、4月4日に発熱し、8日に入院、10にPCR検査での陽性確定し、その後19日から容体急変のためにICUに入り、以後治療が続いていたとのことで、関係者の中には納得していない方もいるかもしれないけれど、特に後回しにされたとか治療が遅れたという事は無いように思います。相撲以外のスポーツ選手が、決して罹患しないとか、重篤化しないとは言わないけれど、本来は自分の持っている体力や運動能力を生かすために、最大限に運動能力を最適化しているところに、「体重」というそれとは別の要因が重要視される「相撲」というスポーツの脆弱性が、今回は不幸にもでてしまったような気がします。いずれにしても、まだ28歳という若い人なだけに、残念だったことは確か。本当に、心からのお悔やみ申し上げます。合掌。
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