2020年5月9日

余裕の無い番組

今更聞いても驚かないけれど、取材VTR/コメントが恣意的に使用されて、元々の意図とは真逆の意味で使用されたという話。同様の話は、昔から有る話で、インタビューされた人がSNS等で反論したりするけれど、今回ほど大きく取り上げられたことはないように記憶しています。新型コロナウイルス関連だからか、同局による同様の事案が発生していることからか、今回は注目が集まり話が大きくなったことは良かったような気がする。

テレビ朝日の元プロデューサー氏による寄稿もありましたが、ちょっとスッキリしない。多分、このインタビューの部分は、この番組の幾つかある特集というかコーナー(5分~10分位?)の中の、さらに複数使用されるだろうビデオ素材の一部でしょう。そんな部分に、もし自分達の欲する方向性と異なっていたら、最初から撮り直す、やり直す、構成を作り替えるなんていう手間を掛けるとは思えない。番組だって毎日放送していて、ある意味自転車操業でニュース素材を集めて、取材をして、映像屋音声の資料を作成して、スタジオ用のフリップとかギミックも準備しないといけない。例えば1時間位の特番とかなら、有る程度準備期間もあるだろうし、それなりに丁寧に取材をして準備をするだろうけれど、ある意味毎日の番組でどんどん使い捨てされる資料にどれだけ真面目に準備をしているのか、そこが大きな疑問。ゲストコメンテーターなる人が、大体固定してくるのも、多分無意識にかもしれないけれど、段々番組に馴染んで使いやすいコメントを出してくれるとか、そう言う理由もあるんじゃ無いだろうか。

「テレビ番組」あるいはその中で使われる「ビデオ素材」を一つの商品と考えると、短期間で製造して一回しか販売できず、さらに賞味期間も短いものを、出来るだけコストを低くしてでも、インパクトは大きい物で無いと行けない。とてもじゃ無いけれど、そんな商品開発したいと思わないし、そう言うものを毎日企画製造してヒットを連発するなんて出来るわけない。それよりも毎日以前の商品よりも良い物を作り続けることが大仕事な訳で、時には新製品投入も必要だけれど、基本前日の製品を有効活用してマイナーチェンジしたり、味付けを変更したりという事も必要に。結果的に、自分達が思う筋立てに合わせて、手元に有る資料を切り貼りしてそれっぽい物を作る事で手一杯じゃないだろうか。特に、以前なら潤沢に人でもお金もあっただろうから、複数のチームが分担して平行して作業も出来ただろうけど、最近の厳しい環境ではそんなことも厳しくなっているだろうし。

じゃあどうしたら良いのか。一つは、やはり番組内容の見直しというか、その番組の方向性を考えた方が良いのでは。今のテレビだと、それこそ早朝の今回のような番組から、午前のワイドショー、お昼のニュースに、午後のワイドショーと、一日中同じような内容特に今は新型コロナウイルスの話を扱っている。その中では、取材資料とかビデオを共有する事もあるんだろうけど、そんなに一日中コロナの話題をするほどの需用があるとは思えないし、視聴者も欲しているとは思えない。感染拡大しているときならまだしも、沈静化しつつある今はそんなことよりも、生活費とか補助金とかもっと別の情報が必要とされているはずでは。まぁ、そんなことは分かっているけれど、プロデューサーの方針でとか、会社の方針でと言う事もあるんだろうけど、番組と言うよりは放送局として放送内容の最適をするべきでは。今回もそうだけれど、これまでは取材される側はその場限りで対応出来なかったけれど、今の時代は取材される側がバックアップを取って、それを証拠として反論することも出来る時代ですからね。そう言う変化にも対応した取材活動であり、番組制作を考えないと、ポリシー違反で番組自体、場合によっては放送局自体が大きな責任を取るようなことになると思う。

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