2020年5月20日

逃した獲物は大きい

今国会成立を見送り、継続審議になった検察庁法改正案を含む国家公務員法改正案。結果的に、一番困るのは、その法案により定年延長を期待していた公務員により組織されている、立憲民主党の支持母体自治労という結果に。

確かに、一部野党を除いた与党等で採決してそのまま通す方法はあるとは思うけれど、個人的には今は潮目が悪いと思う。理由として、まず野党はそれを理由にさらに与党をせめる理由が得られるし、さらに自治労にも「定年延長」という「実」を渡すことが出来るから痛くも痒くも無い。一方で与党は、わざわざ公務員のためと思って法案を通しても、結局それで自治労が与党支持になるわけでも無く、また新たに野党に燃料投下する羽目になるなら、そんなことは避けたい。「廃案」という手もあるだろうけど、多分一つは10年近く前から検討されてきた法案を、こんなつまらない理由で廃案にする事は道義的に問題有るだろうし、働き方改革などを考えると、職業に関わらず「定年延長」は必須。年金支給年齢を、60歳から65歳、さらには70歳にと言っている時代に、公務員だけは定年が60歳とか63歳とかいうのでは、彼らも付いてこないでしょうし。

そう言う意味では、今回の「先送り」という対応は、与党によっては別に痛くも痒くも無い法案を次に回すだけで、多分実際に施行される令和4年4月1日というスケジュールには影響しない。また、冷却期間をおくことで、特に何もしなくても次回はそのまま通過させることも可能になるかもしれない。万が一を考えて、今回の対応や内容に問題があるなら、その対策を準備する時間も生まれる。唯一の難点は、野党の主張に押されて先延ばししたと言われることですが、それも野党自らが援護射撃をしてくれている。つまり、先送りでは無く「廃案にしろ」と彼ら自身が言っていること。いゃいゃ、それが最悪の選択になる事を理解していない野党議員がいることが、やはり今回のハッシュタグ騒動の底の浅さを表していると思う。流石に党首の枝野氏等は「分離して採決」とか急にいいだしているけれど、それならそれで最初からそう言えば良いのに、今更何を言っているのやら。それに、分離するためにはもう一度法律を書き換えないと行けないわけで、一日二日で出来る話でも無いし。

定年に到達後の単年毎の延長に関わる部分には、不明瞭なところもあるし、もう少し仕組みとして相互に牽制できるような関係を入れた方が衣かもしれない。けれど、個人的に凄く不思議なのは、高い専門性と独立性を持っていると言われている「検察官」が、しかも実績があってそれなりの地位にまで到達した人が、高々一年二年の定年延長のためにその時の内閣に尻尾を振るような行為をするのだろうか。それに、今回の改正案は内閣が準備したわけでは無く、記事の最初にも書かれているように当事者である法務省や検察庁側が自分達の欲する形で準備してきたはず。そこには、内閣からの指示なり強制力が働かないように考えるのが普通では。大体、今回の騒動では時期検事総長人事と絡めて批判する人が多いけれど、確かにあの手続きには疑問はあるものの、今回の改正案はそこには影響しないし、どちらかというと、その先次のタイミングの話。単にデマも含めた陰謀論に簡単に乗っかって騒いでいるのが、今の野党議員の底の浅さ故なのか何なのか... 底の浅さと言えば、あれだけ盛り上がったtwitterも、今回は何の反応も無し。今回の件で一番の経験は、あぁ、こうやってデマは作られて扇動されていくんだという事を、リアルタイムで見られたことかもしれませんね。

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