TL上で物議を醸している、東京新聞に掲載された新型コロナウイルス抗体検査に関しての記事。医学に関して素人の私でも、記事に書かれている「ホームページで希望者を募り、二十~八十歳の男性百二十三人、女性七十九人を検査した。」で、この調査が無意味(サンプリングが偏向している)な事は理解出来ます。無作為に検査対象を抽出するから、少数のサンプルが全体の状況を網羅できるわけですからね。医師出身の国会議員である、今枝宗一郎氏も倫理的な部分含めて問題点を挙げているけれど、仮に倫理的な部分がクリアーされていたとしても、サンプリングの時点で偏っていては、その結果は意味を持たない。
問題というか疑問なのは、偏ったサンプリング方法も含めて、東京新聞が記事にしていることで、自分達も色々なサンプル調査をして居るであろう新聞社が、そんなことも検証しないで記事にして、これが元で何か問題が発生したら、東京新聞は責任を取れるのだろうか。さらに気になるのが記事後半の「<解説>」の部分。その部分の中頃では、以前クラスターが発生した慶応大病院での、新型コロナウイルス以外の入院患者67人に対してPCR検査でも5.97%が陽性となり、この記事に書かれているサンプリング調査と同程度なので、市中感染が心配されるみたいな解説をしている。でも、別の見方をすれば、クラスターが発生して院内感染が想定されるような、稠密な環境下での検査結果と同程度の結果が今回のサンプリング調査でも出たと言うことは、そのサンプリング方法が慶応大病院程度の稠密性を持っていた、とも言えるのでは。
さらに記事を読んでいて検査人数の所で最初混乱したのですが、最初の方では「20~80歳の男性123人、女性79人(合計202人)を検査」したと書いてあり、この中には1ヶ月以内に発熱のあった人52人、濃厚接触者2人、PCR検査経験者9人で陽性反応だった1人も含む、と。陽性反応の1人はPCR検査経験者の9人に含まれるはずなんだけれど、発熱経験者の52人、濃厚接触者2人と、PCR経験者9人が全部発熱経験者含まれるのか、そうで無いのか、それが分からないのだけれど、200名余りの母集団に対して、発熱経験者が52人(約26%)とかPCR経験者9人(約4%)というのは、実際に世の中で出ている人の割合と比較してもかなり多いのでは。日本の人口のうち20~80歳をざっくり1億人とすると、PCR検査人数は4月30日時点で14万人弱ですから、PCR検査経験者の割合は0.14%でざっと見ても30倍位違う。さらに記事の後半では、「一般市民の147人の4.8%に当たる7人が陽性、医療従事者55人のうち9.1%の5人が陽性だった」と書かれていて、えっ、そんなこと最初に言ってないじゃんと何度か記事を読み直しました。合計人数202人が一致しているので、「ホームページで募った希望者」には医療従事者も含まれていたわけですよね? 何で最初に言わないの? よりリスクの高い医療従事者の確率が高くなるのは分かるけれど、それはそう言う条件での割合が出るだけの話で、一般の社会全体に適用可能な評価にはならないでしょう。そう言う意味では、一般市民の値も、医療従事者の割合も、意味を持たないのでは。ましてや、慶応大病院の値と比較することも無意味。
最後の東京都の(それ以外の地域も)ベッド数が少ない話も、一般市民の感染率4.8%(これも高すぎる値だと思うけれど)だから、1390万人都民の4.8%の66万7200人が感染疑いに。このうちの20%が入院が必要だから、13万3千人余りと推定される。この値だと、確かに4000床余りの東京都内のベッド数では足りない計算になるけれど、現実的には入院が必要な人の数は減少してきている訳で、数学的な可能性の話と、実際の状況は分けて評価する必要が有るのでは。確かに、何もしないで以前の社会生活の状態に戻してしまえば、感染爆発が発生して推計のような状態が発生するかもしれない。でも、そこに「外出自粛」という変数を入れた場合に、同結果が変化するのか、それをちゃんと見ないと意味ない気がする。いずれにしても、まずは検査母集団をランダムにサンプリングする事、先ずはそこからですよね、本当に実態を知りたいのであれば。
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