NFLの伝説的なキッカー、トム・デンプシー(Tom Dempsey)が、新型コロナウイルスのために、昨日(米国時間で4月4日)に亡くなりました。NFLでの活動期間が、1969年から1979年ともう40年以上前の話なので、今の人は知らない人も多いと思う。彼を語る上で欠かせないのは、彼の右足先と右手先が先天的に欠損していて、だから先が潰れたような特別なキッキングシューズを使用してプレーしていたこと。四角い箱みたいな靴だと記憶しているんですが、助走は付けずに2ステップくらいで、所謂トウキックで蹴るような感じ。その後最長記録は更新されるんですが、残り2秒からの逆転63ヤードFGを蹴り込んだ試合は、伝説と言っても良いのでは。日本では「義足のキッカー」と呼ばれていたと記憶しているんですが、正確に言うと「義足」ではないのだけれど、特別な靴でキックをしていて、確かにその靴に何か仕掛け(例えばボールが飛びやすいように肩物を入れているみたいな)が無いかとか、そんな話も出たことがあった気がします。勿論、そんなことはなくて彼の実力で、数々のキックを成功させたわけですが。
私がNFLを知って、国内での放送が少ないながらも試合を見出したのは、1970年代の前半位から。当時は、Miami Dolphinsの黄金時代だったので、必然的にDolphinsのファンになりましたが、当時EaglesとかRamsにいたDempseyがFGで登場するシーンは何度かあり、その度に当時のアナウンサーが「義足のキッカー、トム・デンプシーが登場しました」みたいな事を言っていたような。そうそう、Tom DempseyのWikiを見ていたら、1975年にゴールポストの位置が現在のエンドライン上になったと書かれていて、そう言えばゴールポストがゴールライン上にあったシーンも記憶にあるので、この頃位なんだろうか。ゴールライン上のゴールポストに対しての63ヤードFGというと、ボールオンは自陣の44ヤード付近で、ホルダーの位置(キック位置)は自陣の37ヤード(スナップ距離が今と同じ7ヤードと想定)。今の時代だと10ヤード前に出ますが、それでもキック位置は自陣47ヤードですから、これが入ってはディフェンスとしても苦笑いするしか無いでしょうね。
活動期間が、1969年から1979年の11年というのが一寸不思議で、個人的記憶ではもっと長い間活躍していたような記憶があるんですが、多分引退以後何度も取り上げられて、それを試合でのプレーと勘違いしているのかもしれない。それでも、やはり偉大な選手、偉大なキッカーの一人であることは間違いないでしょうね。どうしても、「右足が不自由」という意識がバイアスとして掛かりがちだけれど、右足の指が無いから、ああいったトウキックみたい蹴り方が可能になり、それが結果的に飛距離が出るのだから、不利を有利に変えたのは実力ですよね。
記憶に残る選手が、天寿を全うして行くのは仕方が無いし、諦めも付くのだけれど、それが今回の新型コロナウィルスでというのは何とも納得いかない部分が多い気がします。NBAは、とうとうシーズン中断終了も考え始めたらしいけれど、NFLや日本のXリーグはどうだろうか。まだまだ時間は有るから、個人的には期待しているんですが、春のシーズンどころか練習もままならない状態では、今シーズンはいろいろな意味で波瀾万丈なシーズンになるのかも。
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