2020年4月5日

まずはオリジナルを確認

昨日あたりから、在日米国大使館が、日本の新型コロナウィルスの感染拡大が予想できないから、直ぐに米国に帰国するように勧告したみたいな話が出てきていて、確かに在日米国大使館には4月3日付けの"Health Alert"ととして、

  • 比較的感染拡大が抑えられている日本でも、感染が急増している
  • 全体の動向を把握することは出来ないが、今後急増することが予想される
  • 現在、必要な治療を受けられるが、それも出来なくなる状況が予想される
  • 今後日本に無期限に滞在する予定が無いのであれば、早々に帰国を検討することを推奨する
というような事が書かれています。で、騒がれているのは最初の方に書かれている
The Japanese Government’s decision to not test broadly makes it difficult to accurately assess the COVID-19 prevalence rate.
「日本政府の方針から広範囲の検査が行われていないため、COVID-19の流行予測を正確にする事は難しい。」
の部分みたいなんですが、これはもう一月位前から言われている、PCR検査の感度や確度不足から、いたずらに擬陽性患者を増やして治療施設を圧迫したり、逆に擬陰性者をそのままにして感染拡大を加速させないように、まずは疑わしければCT等で肺炎検査をして、そこで怪しければPCR検査をして確定させると言う、二段階方法をとることで治療対象者を厳選して効率化を図っているはず。だから、今後の感染状況が予想できない、というのは検査の有無とは別に言えることであり、問題なのは「いつ感染爆発するか、いつ感染収束するか全く予測できない」ということ。

で、そう言う不安定な状況でかつ移動のための国際線路線が運休して移動手段がどんどんなくなっている現状で、本当に必要な場合を除いて強く帰国を促すのが、このアラートの目的なのでは。実際、他国の大使館情報を見ても(SingaporeU.K.GermanyItalyFranceRussia)、ほぼ同じ日付けで、国際線の運航がどんどん減るので、早急に帰国を促す同様の勧告が掲載されています。ところが、日本での報道では、「在日米国大使館が日本に検査不足を指摘」とか「在日米国人は帰国く準備を」とか、何か日本の米国大使館だけが危機をいっているようなタイトルや見出しで報じているけれど、正確に言うなら「世界の米国大使館、早期帰国を促す」じゃないだろうか。また、日本の検査不足を指摘するみたいな論調も多いけれど、じゃぁ全数検査をしている国では感染が抑えられているのだろうか。韓国や香港が徹底的な全数検査で何とか押さえ込んだことは確かだけれど、それは全数検査というよりは徹底した隔離対策の方が影響しているのでは。どこの国も、まだ全数検査出来るだけの余裕も無いし、逆にそれによって感染者の隔離対策が飽和しているのも事実。

別に嘘を記事で書く必要は無いけれど、少なくともオリジナルの記事を見て、その内容を評価してそのAlertの主目的は何なのか、それを理解した上で必要な報道活動をするべきじゃ無いのだろうか。私みたいな素人でも、本文を読んでみて「航空路線がどんどん減っている」と書かれていて、それって日本だけの話じゃないよねと思えば、U.K.とかFranceの状況も調べてみるくらいのことは思いつくわけです。そこで、世界的な大使館からのアラートだと理解出来れば、また言うべき事も変わってくると思うのですが。どこのメディアも、多分最初に挙げた記事を多少「てにをは」を変えて再配信しているんだろうけど、それって無責任だよなぁ。単なる情報のリレーで、しかもノイズを乗せているだけなんだから。

0 件のコメント:

コメントを投稿