2020年4月18日

製造バックアップ

まだ終わってはいませんが、今回の新型コロナウイルス感染で得た教訓の一つとして、製造拠点であった中国が閉鎖されたために、中国からの素材や製品輸入が出来ず、それこそマスクや防護服から、アルコール消毒のボトルに水洗設備等、結構意外な物まで含めて問題が発生して、日本国内で色々な問題を生みました。その結果、日本政府もかなりの金額を出して、中国から他の地域への工場移転等を支援することや、国内製造に回帰する方針を出すところも増えているんですが、とは言ってもそう言うことをするにも時間が掛かるし、元々中国に進出していたのにも、安価かな労働力とかインフラとか、メリットが有るから進出したわけで、単に何年か将来に有るかもしれない今回の様な騒動を想定して今から準備をするわけにもなかなか行かない。

そう言う設備を借りに国内なり海外の別拠点に準備出来ても、今は一時的に需用が急増しているから必要数も増えているけれど、平時になればそれは過剰設備にもなりかねない。となると、幾ら万一の時の設備と言っても、余剰設備はそのまま負債になり、会社経営を圧迫することは確か。何か上手い方法はないのかと思うわけですが、ちょっとヒントかなと思うのが二つ。一つは、消毒用アルコール不足に対応するために、国内の酒造メーカーや化粧品メーカーなどがアルコールを増産したこと。技術的には可能何だけれど、法律の縛りがあるので今回特例的に可能になったんですが、今回の経験を生かすなら直ぐに切り替えられるようなルールを作れば、次の時には迅速に対応可能になるのでは。もう一つは、フェイスマスク等を、自動車メーカー等が作成したように、本来は作っていなくても自社の設備を変更することで対応可能にして増産する方法。これ、さらに突き詰めれば、国内にある個人の3Dプリンターに共通のデータを流し込んで、そこで製造したものを集めて配布する、何て言う事も出来るかも。ソフトの世界ではよくやる、PCの空きリソースを活用するように、国内の3Dプリンターを活用するような方法はどうだろう。

今回はサージカルマスクや防護服が足らなくなって、今も困っているわけですが、マスクは布マスクを一般の人が使用して、不織布マスクは医療関係に優先的に融通するという方法が今回はとられたし、防護服に関しても苦しい事情だけれど、レインコートとかカッパ等で代用する事も。レインコートだったら、ビニール素材を自動的に裁断して、繋ぎ目は圧着接続して自動的に製造するなんて出来ないだろうか。1箇所で賄えなくても、例えば、1) 素材製造、2) パターンカッティング、3) 縫製、4) バッケージング、みたいな分業は可能なような気がします。あるいは、全国の個人中小の縫製業者に投げて分散処理(分散製造)するというのも可能じゃ無いかと。

そう言うことを考えると、専業化して効率を上げることも重要だけれど、万一の場合に対応出来るような「余地」というか「自由度」を有る程度準備する必要が有ります。それって、余剰設備にもなりそうだけれど、逆にそれを利用して自社製品の付加価値を高めるとか、製品範囲を広げるとかも可能じゃないだろうか。一方で、今は自粛中で色々な社会インフラやサービスが制限されている。例えば分散製造するためには、全国的な流通システムが機能している事が前提だし、当然通信インフラも同様。そういう部分の冗長性だったり、ピークマネージメントも出来ないと困る。今は何となく漫然とそう言う機能に支えられていることを認識しているけれど、これが例えば自然災害も伴うような場合は流通システムが途絶することもあるわけで、そう言う場合に対してのバックアップや迂回路も考えないといけない。直ぐには無理でも、少し落ち着いたらそういう部分への投資というか、準備をする事が、もしかした来年の同様の流行に対しての大きな武器というか耐性になる気がしますね。と言うか、そうあることで、いざというときだけで無く、通常の社会生活自体の"QOL (Quality of Life)"も向上する気がする。

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