2020年2月6日

失敗プロモーション

富士フイルムが、新製品のプロモーションビデオを公開したところ、その内容に批判が集中して直ぐに取り下げてお詫びした件。ネットには、既に転載されているけれど、大元が削除した映像なのでリンクはしませんが、ベテランのカメラマンが、多分渋谷(?)の雑踏の中、そのカメラを構えて通行人などをバシバシ撮影していくんだけれど、突然目の前にカメラを持った男性が現れてシャッターを切る物だから、迷惑そうな行為をする人や、顔を隠して通り過ぎる人多数。映像芸術的には、渋谷の雑踏の光景は勿論、迷惑そうに瞬時に反応する人の行為や表情も「芸術」と言えるのかもしれませんが、撮られる方にとっては迷惑なもの。だから批判も集まっているんですが。

富士フイルムのお詫び記事では、「視聴者の皆さまに不快感を与える動画掲載されましたことを深くお詫び」と書いているんですが、問題の根本はそう言う映像を掲載したことではなく、そう言う映像を何の疑問も無く映像機器メーカーが制作したことですよね。例えば、雑踏の光景を撮影するために、事前にその周辺の人に告知して了承している人だけが歩いている間に撮影するなら分かる。又は、「ヤラセ」とも言われるかもしれないけれど、映画の撮影みたいにエキストラで埋めると言う方法も有りだと思う。でも、多分いきなりカメラマンが日常の中に割り込んできて、断りも無く撮影するのは無しだろう。カメラメーカーって、ある意味「盗撮」との戦いもあると思うんですが、自らがその片棒を担ぐようなことをやることに、制作段階以前に企画段階でNOは出無かったのだろうか。

ただ、一つ思うのは、この映像では新製品のコンデジを使用していたから、撮影されそうな人、された人は迷惑そうな対応をしているけれど、もしカメラでは無くスマホで同じ事をやっていたら、もしかしたら半分くらいの人はそのまま通り過ぎていったかもしれない。コンデジ撮影だと、その使用・利用範囲はかなり限定されるのに抵抗感が大きく、スマホだとSNS等で一気に拡散する危険性はあるけれど、日頃の慣れもあって抵抗感はそれよりも小さい気がしますね。ただ、それは単にその撮影行為が、見慣れた物かそうでないかかで抵抗感が違うだけの話で、その行為自体は許されるものじゃ無い。

とは言っても、現代は「映像時代」であることも間違いなくて、何かあれば誰も彼もスマホを構えて撮影する時代。昔は、色々な音を録音することが一寸ブームになったことがあるけれど、結局録音しても公開する場所が無かったから個人の趣味で終わっていたもの。それが映像となると、SNSで誰でもいつでもどこでも公開出来るから、その影響度は段違いに大きく広くなってきています。しかも、一見何の変哲も無い映像に、凄い重要な事件のヒントが映り込んでいたり、隠していたプライバシーが特定されたり、重要度も格段に上がっている。そう言う時流を、当のカメラメーカーが認識していなかったことに、何か「カメラ産業」自体の衰退みたいなものを感じてしまうのが、個人的には一番悲しいかも。

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