横浜崎陽軒の善意で寄付された、4,000食近い同店の人気商品「シュウマイ弁当」が、通関業者から船内に運ばれる間に消えてしまった事件(かな?)。ある種の「食品ロス」ということで、井出留美さんという方が精力的に取材されて記事(1回目、2回目)にされています。1回目の記事は、状況確認だけだったので背景とかよく分からなかったんですが、2回目の記事を読んで、個人的には凄く腑に落ちることに。私は、高校時代は陸上部のマネージャー見たいな事を、大学社会人ではアメフトチームの、選手兼任のマネージャみたいなことをずっとやっていたので、こう言う裏方の仕事はある程度経験しています。今回感じたのは、「この崎陽軒の話って、合宿の時の差入れの話と似ているなぁ」という事。
勿論、内容も規模も状況も段違いではあるんですが、多分消えた理由はパンクしているロジスティクスに、予想外のものが投入されて例外処理的に正規のプロセスから外れて消えて(見えなくなって)しまったんじゃないかと。だから、2回目の記事にあるように、もしかしたら保存庫の奥の方に仕舞い込まれたままか、食品ですから腐敗してしまって、既に廃棄されてしまったか、そのいずれかではないかと推測するんですが。記事にも書かれていますが、今回の最大の問題点は、折角の行為ではあったけれど、その内容が船内の関係者が誰でも分かるように英語記載されていなかったことが問題点の一つ。もう一つは、受入側(船側)の責任者が決まっておらず、また寄付する情報も多分伝わっていなかったことでしょう。だから、船内では「来るものが来ない」という基本的な事が分からないから、関係者は誰も問題認識していなかったのでは無いかと。
例えば合宿だと、OB/OGやご父兄の方から差入れとか頻繁にあるんですが、予め何が必要かマネージャーに確認して、「いついつに何を送る」という連絡をしてくれる人は良いんです。正直困るのが、突然予想外のものを送ってくる場合や、大量に同じものが集中する場合。例えば、スタミナを付けろと肉を送ってくれるのはありがたいんですが、まず宿泊先に保存する場所が確保できなかったり、既に食事の予約はしている場合、その肉を消費する機会が、例えば最終日のBBQの時まで無かったりします。フルーツの差入れも多いしありがたいんですが、これも保存場所に困ります。特に夏の場合は気温も高いので、変なところに置いておくと直ぐに傷んでしまう。今回のお弁当も、消費期限が短い中大量に送られて、処理に困ったと言うのが実状じゃ無いだろうか。崎陽軒さんの善意は、決して悪いものでは無いけれど、消費期限の短いお弁当というのはちょっと拙かったかもしれませんね。それに、一度に4,000個近くではなく、例えば船内での昼食メニューの一つになるように、毎日500食ずつ何日か継続して寄付するとかすれば、まだ良かったかもしれない。あと、船内の担当者もちゃんと決めて受取責任者を決めることと、その分他の食事にも影響するだろうから、事前に何日にどれだけ食事の量を調整するという事を予めネゴして置く必要も有るでしょう。さらに言えば、豚肉を使っているから、貰っても食べられない人もいるだろうし。私もOBになって、合宿とかに差入れするときには、特にチームから指定が無い限りは、出来るだけ日持ちがして保存が可能で、余っても後から利用出来るものを選ぶようにしています。今回の差入れも、例えば常温保存できる真空パックのシュウマイだったら、また結果は違ったかもしれませんね。
では、どうしたらよかったのか。これは通関業者の問題なのかもしれないけれど、船内の責任者を明確にしてその人宛の荷物としてちゃんと扱うようにすれば、少なくとも「消える」と言う事は無かったかも。普通は、インボイスが付いて、どこの誰に送るのか、というのはちゃんと分かるはずですからね。で、そういう人がいれば、船内で食事が余るとか、無駄になるリスクも減らせるだろうし。あと、崎陽軒さん側にしても、消費期限の短い商品は避けて、それなりに常温でも日持ちのする商品とか、やはり工夫した方が良かったかも。場合によっては、船内の調理部門用に、シュウマイとか春巻きとか、食材提供という手段の方が良かったんじゃないだろうか。そうすれば、どこからどこへ何を搬入するかも明確になるし、その使用工程もはっきりするから、少なくとも途中で消えることは無かったように思います。2回目の記事では、震災時の支援物資の扱いにも言及されていて、特に外国人の人への対応は問題。これは、自分達が海外で仕事をするときにも同じ分けで、私も長期出張中最初の頃はスーパーに行っても、何が何だか分からず一寸苦労しました。今のように、スマホで写真を撮影したら内容が分かる、みたいなツールも無いし、兎に角買って来たら、人柱になって試してみる位しか方法は無かったですからね。私は、アレルギーはそんなに無かったから、好き嫌いな味や風味はあっても、体に影響する事は無かったけれど、アレルギーがある人は大変だと思う。いずれにしても、今回の教訓をどれだけ有効に将来に行かせるかが問題なわけで、そう言う意味では阪神大震災、東日本大震災、それ以外にも台風や大雨の被害からの経験値が、もっと蓄積されて行かされるべきだと思う。さらに、今回の新型コロナウィルス感染に関しては、今現在新しいフェーズに移行しているわけで、活動の中心は政府ではあるけれど、やはり一人一人の心構えと備えが最後の砦なんだろうなと思います。
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