2019年11月29日

パナソニック、半導体事業から撤退

パナソニックが、半導体事業から撤退すると発表は、かなり大きく取り上げられています。まあ、日本を代表する総合電機メーカーが、その中でも核となる「半導体事業」を、ライバルである台湾のメーカーに2020年6月を目処に売却するというのは、多少なりともこの業界で仕事をしている人間にとっては驚き以外の何物でもない。特に、自分が社会人になって仕事を始めた頃は、「半導体は産業の米」と言われて、国内の大手電機メーカーは勿論、様々な分野のメーカーが参入していて、しかもそれぞれのメーカーが世界規模のシェアを持っていた時代。当時のライバルは、アメリカやヨーロッパのメーカーで、その中デモに本の半導体は「別格」という扱いであったことも事実。唯一、CPU系だけはとうとう手が出なかったけれど、それ以外の特にメモリー系は日本の独壇場でした。

それが、まず韓国にシフトして、それが中国にシフトすると、どんどん日本メーカーの地位は低下していったことも確か。唯一救われるのは、半導体製造が拡大するにつれて、その製造装置や部材メーカーが国内で成長していて、その部分に関してはまだ日本が優位であることは救いなのかも。ただ、何でもありの中国メーカー(と、中国政府)が本機になりだしたら、一気に物量作戦で逆転されることは確実でしょうけど。パナソニックは、一週間程前には液晶パネル事業からの撤退も発表しているけれど、こちらも一昔前までは日本メーカーが優勢だった分野で、しかしその後韓国勢に押され、さらに今では中国メーカーの進出が厳しい分野。時代の流れというのは簡単だけれど、まぁ日本メーカーとしての驕りなり油断なりもあったんだろうなぁという気もします。

一方で、いつまでも垂直統合型の製造プロセスを維持することが良いわけでも無いわけで、例えばAppleなんてEMSを最大限に利用して、最終的な製品さえ自らの仕様通りであれば、その工程に関しては我関せずと言う対応。最近でこそ、自社工場というか単純なEMS(Fabless)から、自社が有る程度介入するようなプロセスを入れて居るみたいですが、これもどちらが良い悪いでは無く、その時の条件や環境で最善の方法を臨機応変に採れるかどうか、と言う点で見ないと、本当の意味を見誤る可能性も。今回のパナソニックの半導体事業の売却に関しても、確かに以前の総合電機メーカーという立場からみるとかける部分が生まれる様に見えますが、わざわざコストをかけて自社調達しなくても、外部から安くて良い物があるなら、それを利用すれば良いだけの話し。その辺の割り切りって、外資系メーカーはかなりドライなんですが、国内メーカーは昔からの柵なのか、なかなか割り切れない部分があるように感じますね。

半導体事業を売却するからと行って、パナソニックが情報デバイスとか関連製品からも撤退するわけでは無く、その浮いたリソースをもっと大きな事業や新規事業へ投入するんでしょうけど、そこで何をやるかの方がもっと大事。「事業売却」のニュースは確かに大きいんですが、そこから「どうするの」ということを、個人的には聞きたいなぁ。

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