2019年5月15日

不要な翻訳・変換

スポーツクラスタで一寸話題(問題?)になっていた、スポニチに掲載されたサニブラウン選手の100m走9秒99の記事。そのタイトルの「米大学南東地区選手権」って何だよと言う話。これ、「South-Eastern Conference (SEC)」を直訳しちゃったんでしょうね。カレッジフットボール好きなら当然知っている、米国には地域や伝統などの繋がりで、大体10校位の単位で複数の大学が一つのグループ(Conference)を作り、その中で様々なスポーツの対抗戦を昔から行っています。日本で言えば、「東京六大学」みたいな括りで、その中でフットボールだけで無く、バスケットに陸上にテニスに水泳にと、毎年Conference Championshipが繰り広げられる。勿論試合数によっては、それ以外のConference所属チームとの対戦もあるんですが、米国の大学スポーツを支える一番重要な基本単位というか集団と言って良いのでは。

まぁ、そういう多分日本では一部を除いて馴染みの無い概念だけに、知らずに直訳したのか、あるいは知ってても日本語にするために無理に翻訳したのか背景は不明だけれど、個人的にはかなり「無理筋」と感じられる言葉。同じように他のConferenceで「ACC (Atlantic Coast Conference)」とか「Big Ten」「Big 12」「Pac-12 (Pacific-12 Conference)」など有るけれど、例えば「ACC」は「大西洋海岸地区選手権」とか言うのだろうか。多分、益々意味不明になると思う。

昔カレッジフットボールが日本でブームになったときに、その中の有名校として「UCLA」とか「USC」とかあったけれど、UCLAを訳すと「カリフォルニア大学ロサンゼルス校」になるけれど、長すぎるから「カ大LA校」みたいな書き方をしたり、USCも「南カリフォルニア大学」なんだけれど「南加大」と書いたり。まぁ、文字数の制限がある特に新聞などでは省略するのも仕方ないけれど、それ以外の情報も利用されている今、無理にカタカナや漢字で表さなくても、そのまま省略語でも良いような気がするし、先のスポニチのタイトルにしても「米SEC陸上大会」位でいいんじゃ無いかな。

日本人が英語を学ぶ場合、あるいは日本語以外の言語全てに当てはまると思うけれど、そういう現地での常識と言うか、普通に使われる「言葉」を知らないと、全く会話が成立しない場合も結構有ります。だから、個人的に子供の頃から英語とかフランス語とか学ばせるときに、それはそれで発音などは良くなるかもしれないけれど、文化的背景も一緒に学んで経験しないと、言葉の意味が分からない、使うべきタイミングが分からない、結局発音は良いのだけれどトンチンカンな会話になっていきそうな気がするんですよね。有る程度「耳を鍛える」事は良いと思うけれど、先ずは自分の思考体系をしっかり日常の言葉=日本語で確立させて、その上で色々経験するのか良いと思う。そうすれば実際には存在しない「米大学南東地区選手権」なんて言う言葉も浮かばない気がするんだけれど。いずれにしても、情報のソースには「SEC」って英語で書いてあるだろうし、それをわざわざ訳した理由が不明ですよね。下手に言葉や文章の中に単語が混じるのも困るけれど、無理矢理日本語化されるのも同じくらい困るなぁ。

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