2019年1月21日

反面教師

フリージャーナリスト、志葉玲氏によるコラム。タイトルに自分の主張ではなく、登場人物のセリフを持ってくる当たり一寸嫌らしいなと思うけれど、全体として批判することが目的でその内容に関しては一寸都合よく利用している感じがします。

コラム最初で、TBS系列「報道特集」のキャスターの金平茂紀氏が国際政治学者である三浦瑠麗氏のCX系列「ワイドナショー」での発言を戒めたという事が書かれています。彼女の発言が、その時点で流布されているような余り各賞のない情報に元図付いて語られたと言う事は事実だけれど、昨年の時点ではそう言う内容(身代金が払われた)という報道は、大手メディアも伝えていた内容の一つなわけで、その中で彼女なりに判断して自分の意見として話したのであれば、それはそれで一つの理由になると思う。と言うか、「ワイドナショー」って、バラエティ番組でしょ。その中での発言が、なんでジャーナリズムの敵みたいな扱いを受けるのか、その方が不思議。金平氏の報道特集や、その他報道番組、情報番組の内容だって酷い物はいくらでもあるのに、「報道的」なスタイルを取っているバラエティ番組の内容を批判するのって、何か変。

後半では人質になった安田純平氏の行動を批判した三浦氏に対して、貴重なウイグル情報が入手出来、それは重要な意味があったと金平氏は説明しているけれど、では彼らはそのウイグル問題に対して、どれだけその後の番組なりメディア・ジャーナリストの立場として問題提起をしているのだろうか。正直、金平氏が番組を持っているTBS系列は、どちらかというと中国に阿っていると言われている放送局の一つであり、これまでウイグル問題をそれほど熱心に取り上げてきたとは思えないのですが。TBSだけで無く、日本の大手メディアの殆どは、あれだけ人権と言いながらも今一番酷い人権侵害が行われているウイグルに対しては、結構冷たいですよね。そう言う立場を取っている人が、都合の良いときだけこう言う事を言うのは不信感しか感じない。試しに、報道特集のアーカイブを見てみても、2018年10月から直近の1月までにウイグル問題の特集は無いし、関係しそうな内容も、2018年10月27日放送の安田純平氏本人の話と、2019年1月12日の香港の民主化の話位。前者は安田氏本人の話を中心だろうから、ウイグル問題も登場したかもしれないが本論では内だろうし、香港の話も香港の一国二制度が中心でウイグルが中心とは思えない。勿論、このアーカイブは番組の中の特集コーナーの履歴だから、それ以外の枠で触れていたかもしれないけれど、逆に言えば触れていたとしても履歴が残らない範囲でしか扱わなかったと言う事なんですよね。

で、最後に、最近のテレビ報道ではその場のノリで人の人権を左右するような発言をコメンテーターとして話をさせると批判しているけれど、いゃいゃ、それって自分達がまさにやっていることではと突っ込みたくなる(笑)。ウイグル問題は安田氏の大きな発見と言うけれど、それは自分達が報道してこなかっただけの話で、そう言う話はネットでは幾らでも見聞きすることが出来ている。少なくとも、ジャーナリズムを言うのであれば、自分が知らないことがあるなら先ずは調べてみることくらいは必要なのでは。最も、素人の私でもそれ位の知識があるわけで、専門家である彼らがそんなことを言うのは、知らない振りをしているだけかもしれないけれど。最後には、「政治学者として食っていけるのか問題」という個人攻撃やら、「安倍政権を支持する人々が行っている、『非国民捜し』」と言っていて、それって、志葉氏が続けて言うところの、
確かに、事実に基づいた冷静な批評ではなく、バッシングありきの姿勢で安田さんを批判しているコメンテーターには、日頃から政府寄りの発言をしているか、安倍首相と会食したり、政府の懇談会等のメンバーであったりしている人物が何人もいる。
の、安田氏を三浦氏に、政府よりを野党より、安倍首相を枝野氏、政府の懇談会などのメンバーを雇うの反政府集会などの 参加者、と入れ替えたら、そのまま自分達に返ってくる内容じゃないかと。で、最後には、報道は権力を監視する存在と、いつもの驕り高ぶった言葉が出てくるけれど、報道の役割は開くまで「事実を伝えること」なんですよね。それを聞いて判断するのは、一人一人の人間。だから、色々な意見も生まれてくるし、多様性から新しい考えや行動も生まれてくる。「報道が権力を監視する」ということは「報道が権力を擁護する」事も可能になるという事を気が付かないと。いゃ、そんな事は有り得ないというかもしれないけれど、その事実を自分達は民主党政権時代に見たわけだし、あれはメディアが自分達が誕生させたと信じている民主党政権の正統性を維持するために、自分達の判断でメディアを動かしていた証拠でもあると思います。大手メディア、レガシーメディアだけの時代は、それでも通っていたかもしれないけれど、今ではネットを通じて生のデータが幾らでも流れてくる時代。その中には、ノイズや虚偽情報も多く存在しているけれど、事実も流れてくるから多くの人はネットを信用するし利用もする。間違った内容や誤解に関しては、三浦氏を批評すれば良いと思うけれど、それはそのまま自分にも返ってくる反面教師の役割りにもなるという事をちゃんと理解しないといけないのだけれど、多分この人達はそんな都合の悪いことには一切耳を貸さないでしょうね。何処かの国のように、レガシーメディアは穏やかな終末を迎えつつあるのかもしれない。

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