2019年1月19日

働き方改革

ITmediaの記事から、「通勤ラッシュが無くなる? 老舗オフィス空間メーカーが5Gに期待する理由」。これって、PR込みの話じゃ無いのかなぁ、このメーカーの。この手の「在宅勤務」とか「サテライトオフィス」という話を聞く度に思うので、通信インフラの発達は確かにこれまでの「会社に出勤して仕事」というビジネススタイルを変えていくことは事実だけれど、それが全てでは無いし、ポイントとして少し付けている気がするんですよね。何て言うか、会社社内に入っているような高速なネットワークが自宅でも使えるようになるから、会社と同じ仕事が自宅でもできる、みたいな、単に通信インフラの話だけに矮小化されているような気がする。

自分がもう10年以上も在宅勤務をして思うのは、確かに自宅でもできる仕事は職種や業種で異なるものの、それなりに存在することは確か。ただ、その場合でもパソコンの中で出来る仕事が中心なら良いけれど、そうで無い場合にはなかなか大変。例えば、ソフト屋さんでソフト開発とかしているなら、自宅でコーディングとかデザインとかする事は可能だろうけど、同じソフトでもテスト関係をしていると、自宅でテスト作業するのはなかなか大変でしょう。実際にテストするためにテスト機を準備したり、周辺装置とか必要になるかもしれない。さらに言えば、仕事用パソコンの中で閉じた作業ならまだ良いけれど、それをテスト機とか外部に出して作業する場合、セキュリティはどうするという問題も生まれるはず。実際私も実家に戻るとき、諸般の事情で自分用の離れを作ることになり、そこで仕事をすることで家族や来訪者が来ても仕事環境が影響されないように注意しましたし。

「5G=高速大容量通信」と考えると、これまで用にメールだとかチャットだとか、そう言う低速度の通信サービスでも可能だった作業以外の仕事の可能性も生まれてくることは事実。例えば、自宅の作業PCをワークステーションクラスのものにして、5G経由で会社のDBにアクセスして、3Dシミュレーションしたり、CAD/CAM系の設計なども可能なるかもしれない。同じようにして、ソフトのテストも仮想環境でテストマシンを設定し、そこである程度テストケースを流すことも可能になるかもしれない。また、自分の仕事のように何10GBクラスの大量のデータをやり取りするような場合にも、これまでは自宅でどうしても作業が必要な場合は、DVDとかUSBで持ち帰るしか無かったけれど、5Gならその場でサクッとダウンロードして利用することも可能にに成るでしょうし。そう言う意味では、仕事の範囲を広げることは事実。ただ、その分自宅に仕事で必要な備品も増えていくことも考えないといけないと思う。

今可能な仕事内容でも、5Gになると利便性がアップする事もあるでしょうね。例えば、テレビ会議とか電話会議なども、今でも可能だけれどデータ量が多いと音声や画像が不安定になる事もしばしば。これが5Gになれば、大画面のテレビ会議でも問題無くなるだろうし、駒落ちも無くなるだろうし、それが複数拠点でマルチで進める事も可能になるでしょう。あと、PPT等の資料も簡単にシェアできるようになるから、いちいちローカルに持つ必要性も無くなるでしょうね。5Gになって、継続的に高速接続が可能になれば、「クラウドにドキュメント保存」と今でも言われているけれど、実際には手元に持たざるを得ない状況が、本当の意味で実現出来ると思う。手元のクライアントにはOSと必要最低限のアプリしか入っておらず、5G経由でデータには全部アクセスするということが、何のストレス無く可能になると思う。場合によっては、必要なアプリをその都度ダイナミックにダウンロードしてインストールして利用して、終わったらアンインストールしても良いだろうし。それって、アプリのライセンスが分単位、時間帯の利用料金に変わるかもしれない。と言うか、ホスト側に十分な仮想化機能が準備出来れば、それこそ手元の端末はその仮想マシンを表示するだけでいいかも。となると、これまでオフィスで行われていた「仕事」も仮想化されて、その仮想世界の中で完結するようにスキームも変更しないといけない。だから、5Gで変わるもの、変えな気やいけないものは、自分の仕事スタイルではなく、会社として、ビジネスとしてのスキームチェンジだと思います。それが出来ないのなら、単にリモートで高速回線を使ってメールチェックするだけという、実に勿体ない事にしかならないと思う。

さらに、今実際在宅勤務中心の生活をしていますが、実は同僚など多くの共同作業者はオフィスに集まって仕事をしているわけで、自分の仕事の流れやスタイルをそちらに合わせる必要が有ります。だから、全体の仕組みとしては、外で仕事をして居る人もいるけれど、実体はこれまで同様「会社」という場が中止にあることは変わりない。その会社という「場」をどの様に変化させて、変革していき、新しい作業の「場」を構築出来るかという事を、出来れば色々なところで考えると、もっと効率的でもっと付加価値が高く、そして働く人の満足感が高い仕組みが生まれてくるんじゃないだろうか。

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