2018年12月3日

徳利のマナー?!

数日前に見つけたこんな記事。私も翌日本酒は飲む方だけれど、こんな話は初めて聞きました。で、個人的に思うのは、「注ぎ口を使うのがマナー違反なら、注ぎ口がある徳利を出す店が悪い。さらに言えば、そんな徳利を作っている業者が悪い。」で終わりなのではないだろうか。

徳利の注ぎ具は、明らかに徳利から中の液体(=お酒)を注ぐときに、注ぎやすくかつ液だれなどしてこぼさないようにという工夫のため。と言う事は、徳利を使用して頻繁にお酒を飲むような機会が増えたから、そう言う工夫が生まれたと思うのが自然では。それまでだと、徳利は徳利でも、今の一合二合徳利よりも大きな、一升くらい入る大きな酒徳利が使われていたはずで、こちらは保存のために注ぎ口が塞げないと行けないはずだから、となると注ぎ口が出来るのは不便。当時の流通事情を考えると、その頃は今のように瓶詰めでお酒なんか販売しているわけが無く、酒屋が量り売りをしていた時代で、だから酒徳利みたいなものを持ってお酒を量り売りで購入して、自宅などで飲んでいたはず。当然、価格的にも高価なものだろうから、そんなに頻繁に酒盛りなども出来ないだろうし、ある意味贅沢品だったのではないだろうか。

その後大量生産が可能になる価格が下がってくれば、買い置きしたお酒を自宅で頻繁に飲む機会も生まれてくるだろうから、となると大きな酒徳利そのままでは無く、小分けにして飲むという事も考えられます。また、生活環境も変わってきて、火の利用が比較的簡単にできるようになれば、例えば熱燗みたいな事もやるだろうし、そうなると今のような一合二合徳利にお酒に入れて、薬缶の中付けて温めて飲む、と言う機会も増えるだろうと思いますね。暖房という目的もあるだろうし、保存方法が未熟な当時なら、熱することで殺菌効果を狙うとか、匂いなどが強調されるという利点も生まれるだろうし。で、一合・二合徳利が段々増えてくると、そこにお酒を入れて出すみたいなことも増えるだろうし、そうなると丸口よりも注ぎ口がある方が便利なんだけれど、そこで昔ながらの丸口の徳利を作っていた業者が、使いやすい徳利を邪魔するために「それは縁起が悪い」とか言い出したのでは、と個人的には思う(笑)。

お酒を注ぐときの一番のマナーは、先ずは溢さない、そして適量を入れる、それに尽きると思うなぁ。徳利のどこから入れるかは、その2つが護られるならどこから注いでも良いと思うけれど、折角注ぎやすい口が付けているのに、わざわざそれを避けるというのは、やはり変な気がしますね。ビジネスのために「〇〇マナー」とか「△△しぐさ」みたいな事が突然はやることがあるらしいけれど、もしかしたら徳利の話しも昔のそんな流行の1つだったのかもしれない。言ってみれば、平賀源内が広げた「土用の丑の日」みたいなものなんでしょうね。

0 件のコメント:

コメントを投稿