2018年11月27日

入管法改正

来年四月からの施行のために、今国会中の成立を目指している入管法改正。個人的には、今の与党より、自民党よりの立場の自分ですが、この案件に関してはやや疑問を感じます。自分の理解不足、情報不足もあるだろうけど、この法律改正の内容を主張するときの説明には、技術者とか研究者などの所謂「高度技能者」を前提に話しをしているのに、では実際にどの様な職業職種の人材を受け入れるのかという話になると、建設とか農業とか介護とか、今現在問題になっている分野の話が出てくる。色々な記事やニュースを見ていても、何か騙されている感が拭えない印象。

今は空前の人手不足、人材不足と言われていて、その大きな理由は人口減少にあるとのことだけれど、一方で非正規労働者の問題は有るし、正規労働者にしても経済が向上している印象が無い・少ないという人が多いのも事実。「外から人材を入れる前に、内部の労働者の環境条件を改善するのが先では」という意見には、私もなるほどと同意したいところです。例えば、就労人口が仮に6000万人の所に、求職枠が7000万人とか言うのであれば、物理的に足りないわけで外からの人材獲得も納得出来るけれど、実際はそうじゃないわけですよね。暫く前に会社を退職して新しい仕事を探している50歳前後の後輩が居たんですが、まぁ年齢的な事も有るけれどなかなか職探しは大変だったらしい。それ1つの事例で全てが同様と言うつもりは無いけれど、まだまだ雇用と就職希望のギャップは存在していて、国内でも改善の余地はあるように思います。

結局必要と言われている人材は、低賃金で余り人気の無い仕事をやってくれる人材確保をしたいわけで、まずはそこの発想がどうかと思う。以前も書いたけれど、都内のとあるシティホテル(そこそこ有名で、四つ星くらいのホテル)でハウスキーピングしている女性スタッフが、どうも全員中国系の人達で、通用口奥から聞こえてきた会話の声が全て中国語だったときには、一寸ショックを受けました。その数年くらい前だと、まだ日本人スタッフが半分くらい排他はずなんですが、今ではもう(多分)より賃金の安い方にシフトしているのかな、と。多分現在では、それでもさらに賃金をアップしないとなり手が無いんじゃ無いだろうか。同様に、コンビニでも、お店のオーナー以外は全部留学生と思われる外国人スタッフが対応しているなんて言う様子も珍しくないわけで、本当に彼らのためになる改正なら良いのだけれど、結局は今の内容ではより安い人材を外から引っ張ってくるための改正の用にしか私は感じられないなぁ。

暫く前に、それまで製造拠点を海外に持って行っていた企業が、その拠点を畳んで日本国内に回帰してくることが話題になったけれど、それと同じ事が人材確保にも波及しているような気がします。ただ、製造設備の移動に関しては、日本国内でも企業流出して受入を欲していたし、コストだけの問題では無く、短期納期とかカスタマイズ作業とか、国内に持ってくる意味があったから移動出来たわけで、そういう所も人材確保では考えないといけないのでは。国内で人材が集まらない厳しい作業環境があり、そこで人手不足になっているから外から人材を持ってくるというのは、危険な場所にあえて人を差し向けるような意図的な差別みたいなものを感じる。

農業にしても建築にしても勿論介護にしても、この改正法が言うような「単純労働」では決して無いと思うし、たんにより安く使える人材を外から引っ張ってくるためだけの改正なら止めた方が良いと思う。その前に、やはり人出が集まらない原因をちゃんと確認して、その問題を解決して人出が集まるようにするべきだし、さらに働きたいと思う気持ちはあるが色々な理由(家事、育児、介護、etc...)で就業を諦めている人材も、何らかの支援や補助をして仕事が出来るように環境を整えるのが先だと思う。その上で、たんに安いという理由だけで無く、日本の産業発展や将来的には入ってくる人達の母国にも貢献できるような仕組みを整えて、それで受入を始めるべきじゃないのか。以前のように、安いという理由で労働力を持ってくることだけを考えるのは、今の時代ではもう通用しないと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿