2018年3月2日

裁量労働制 (2)

前回の続きというか、多分殆ど同じような話になるかもしれないけれど、こちらの山本一郎氏のコラムが一番今の裁量労働制問題の混乱を簡潔に説明していると思う。確かに、悪意あるつかいかたをすれば、労働力を酷使とか際限の無い労働強要という方向にも向く可能性もあるけれど、デモそれらの話は今の制度でも問題なわけだし、それを「普通」と思ってきたことが一番の原因のはず。それらの解決をすることは、裁量労働制とは別の話なのに、先ずその話が出てこないのが一番の問題だと思う。

一方で、日本で仕事をすると言うことは、もっと付加価値を付けないといけない時代になっていることも事実。労働集約的な仕事は、もう何十年も前に海外に移転していったけれど、それを日本に戻してペイするという事は、日本の労働環境がこれまでの東南アジアの立場と入れ替わるという話になるわけで、それって労働環境が改善したとは言えないのでは。別にそういう労働が悪いというわけでは無いだろうし、色々な意味で国内でもそういう仕事は今後も必要になると思うけれど、それでも何らかの付加価値がつかないと日本国内でわざわざする理由は無い。以前よりは、その理由付けが緩くなってきているけれど、無くなることは無い。それを先ず理解しないと。その上で、どうしたらより自由度の高い効率よく仕事が出来るか、と言う事を考えると、これまでとは異なる考え方の「仕事の仕方」が必要になるはず。その為に、現在審議中の法律に問題があれば、それは徹底的に議論すれば良いだけなのに、調査データの数%が怪しいからと全部却下してしまうというのはかなり乱暴な話。調査データなんだから、スクリーニングしても補正しても、それなりに意味のある内容になるのであれば、それはそのまま使えば良いだけの話しで、それをやり直せというのは横暴としか言いようが無い。

野党も野党で、裁量労働制を切り離したところで、高度プロフェッショナル制度も取り下げたら、議題を審議すると言っているけれど、それなら彼らが問題と思うところの対案を出して今の法案に対して修正動議すれば良いだけの話し。それを、取り下げろ、怪しからんと言うのは、本当に労働改善労働改革するつもりは無くて、単に騒いで回りに「仕事している感」を出しているだけなんでしょうね。実は今の裁量労働制改革の話というのは、そういう「やってる振りして高給を取っている役立たず」を整理整頓する制度のはずなんだけど。あっ、だから彼らは激しく反対するんだ! (マテ)

私が社会人になって仕事を始めた頃は、まだバブル華やかな頃で、当時は兎に角人材を確保して多少の無駄はあっても、ガンガン仕事をしてお金を稼ぐ、という状況。仕事に合わせてリソースを最適化するのではなく、まずはリソースを最大限確保して、それに合わせて仕事を作るという感じかな。だから、無駄な仕事も多かったけれど、それでもお金が回る時代だったから、そんなに浪費している損をしているという感じは無かった気がします。デモ、バブルが弾ければ一斉に効率化が叫ばれて、人員整理とか業種の取捨選択がどんどん進んだわけですが、そう言うことをさらに進めていかないと、幾ら日本人が勤勉と言っても、仕事はしてもお金は入らない時代になってしまう。どんどん仕事をしてお金を稼ぎたい人も居るだろうし、そこそこの仕事と給料があれば、後は自分の好きなことをやりたい人も居るだろう。そういう、自由な仕事の時代になってきているから、仕事に対しての考え方も変えないといけないわけで、そこに「何時間仕事をして、それに対しての適切な給与」という筐体以前のテンプレートだけを押しつけている人は、未だに頭の中がバブル時代なんじゃないだろうか。私は、もうすぐ定年の立場だから関係無いと言えば関係無いけれど、デモこれから社会を回す人達の事を考えずに、旧世代の人間が好きなことを言って肝心の話を進めさせないという所には、凄く腹が立ちます。そういう意味では、国会議員というのが一番古くさい職業なのかもしれない。ある意味、好き勝手をやっている「裁量労働制」の最たるサンプルではあるのに。

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