2018年1月28日

湧き上がる衝動

日本卓球男子の新星・張本智和選手の決め言葉「チョレイ!」に関してのコラム。このコラムを読んで最初に思い出すのは、フットボールでのTDセレブレーション。TDを得た選手が、ボールをグランドに叩きつけたり、派手なダンス等をしたりする行為で、以前は反則(Unsportsmanlike Conduct)だったけれど、今年からだったかその適用が緩やかになり、相当長い時間だったりしなければ、かなりの範囲で許されることに。ただ、それに悪乗りしているような感じの場面も見られるのは確かで、そのあたりはもう一寸考えろよと言いたい気持ちも。

個人的には、やはり試合の行方を決めるTDを獲得した瞬間には、体の中から湧き上がる物があるわけで、さらにそれがスリリングなプレー、厚いディフェンスの壁を破ってのダイブとか、DBとの競り合いでつかみ取ったTDパスとか、そういうプレーで得たTDはやはり格別なわけで、その時に無意識に雄叫びが出たり、大きなモーションをしてみたいというかしてしまう衝動が生まれるのは自然なことだと思う。いろいろなスポーツで「ガッツポーズ」と言われる物が多々あるけれど、あれの一種と言って良いんじゃ無いだろうか。で、水谷選手の「チョレイ!」もその一つだと思うし、卓球界で彼だけがやっているならまだしも、他の選手も大なり小なり同様の行為をしているわけで、それ程目くじら立てる必要は内容に思うんですけどね。14歳という若狭で世界で活躍して目立つために、日本人的な「謙虚さ、慎ましさ」を要求しての批判なのかもしれないけれど。

卓球の速いテンポでのラリーとか、フットボールでの紙一重のプレーとか、ああいう一瞬の勝負というのは頭で考えて体を動かすのではなく、目からの情報が直接筋肉に語りかけてプレーされているような気がするんですよね。勿論、実際には視覚情報が脳の運動部分に入り、そこで蓄積された動作パターンが間髪入れずに筋肉に指令されて動くんだろうけど、多分神経回路として最適化された回路が瞬間に選択されるんじゃ無いかと思う。で、優秀な選手は、そういうパターンの蓄積と回路の蓄積が豊富にあるんだろうなと。だから、陸上競技でも、短距離とか跳躍競技なんかはそれに近い物があるけれど、長距離などは駆け引きという頭で考えてのプレーが必要ですしね。

張本選手や多くの選手の場合、好プレーをした反動でその気持ちが一気に外に噴出されて「チョレイ!」とかいう言葉になるんだろうけど、一方で興奮すればするほどその噴出を内側にする場合も有るわけで、そういう人は外からの見た目は静かな行為と移るかもしれないけれど、本人的には心の中で「チョレイ!」と叫んでいるかもしれない。それは、言い悪いの問題ではなく、言ってみれば自分の感情コントロールの方法でしか無いと思うんですよね。高ぶった気持ちを、一回放出させて冷静になると共に、しかしその成功体験は維持したい見たいな、そういう行為を一つにまとめたのがあの「チョレイ!」やTDセレブーションではないかと。だから、水谷選手が仮にチョレイと叫びながら何かパフォーマンスをしたり、TDセレブレーションで、本人以外の選手も巻き込んでボウリングのマネをしたりゴルフの真似をしたりしたら、それは感情の発露とは違う物で注意されるべき物だと思う。そういう感情のコントロールを出来るようになったら、日本のスポーツ選手の成績はまだまだ伸びる気がします。

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