2017年8月3日

一周回って得しない話

最近は話題のリストの圏外に出ていた感のある、豊洲市場への移転問題。結論は出てないのだけれど、「取りあえず豊洲に移転します」という事だけは決まったから、皆さんシャンシャンシャンだと思っているのだろうか。そんな中、築地市場の空気中から環境基準を超えるベンゼンが観測されたのに、特にそれに対しての会見が行われるわけでも無く、聞こえてくるのは「都民ファーストの会」を「国民ファーストの党」にしようかという話ばかり。その当たりの話は、山本一郎氏のコラムが一番端的にまとめられていると思うけれど、自らの政略に利用した小池都知事が沈黙しているのはまだ分かるとしても、一緒に騒いでいた共産党とか女将さんの会とか月時を支持していた有象無象の人達が静かなのが、彼らの行動理由を端的に表している気がする。結局は、騒いで政争にすれば良いというようなね。

山本氏の言を俟つまでも無く、市場全体が閉鎖空間で外部の影響を受けない場所の、その外部のさらに使用する事も無く浄化して排水処理だけされる地下水のベンゼン数値と、市場内部にも影響する開放型市場である築地市場での空気中でのベンゼン環境基準値超えの意味は全く異なるわけで、以前から指摘されてきた築地市場の問題が数値的に証明されたのに、全く反応が無いのは不思議。勿論、だからといって築地を直ぐにしめて来週から豊洲で再開なんていう芸当は出来ないから、この状況は少なくとも今言われている早ければ来年春の豊洲移転まで待たないといけないのだけれど、それならそれでなおのこと豊洲への移転スケジュールを早期に確定させて、築地での「食のリスクを最少化」することを、との責任者として先ずは言わないといけないと思うんですけどね。

本来なら組織横断的にそういう移転問題を総合的に扱うはずの特別委員会を、都民ファーストの会は解散させてしまい通常の委員会で対応するとのことだけれど、それって今一番必要な「スピード感」が大きく減速するのでは。さらに、関係者があちこちの委員会に分散するから、多分議論の効率も悪くなるし場合によっては責任の所在も不明朗になる可能性もあるでしょう。東京都にも色々な問題・課題・優先事項があるとは思うけれど、その中でもこの市場移転問題というのは長い間色々な議論や対策が行われて、やっとゴール手前まで来たところでずっと足踏み所か後ろに引き戻されている状態。ことの大きさという意味では、五輪関係の準備の方が大きいかもしれないけれど、それでもそれはまだ3年先(もう3年?!)であるのに対して、豊洲は今すぐにでもやるべきだし出来る話。どちらに先ず手を付けるべきかは明確だと思うんだけど。

で、知事や都民ファーストの会の軸足は、今はそれらの問題では無く、どうも国政に打って出る話が中心らしい。地方政党が中央に出て行く話は、過去にも維新の会とか減税日本とか誕生しているけれど、正直地方政党としては成功していても、国政レベルでは停滞している。まぁ、維新の会は日本維新の会として、それなりの存在感を持つし、民進党が衰退していく中、野党第一党を狙えるくらいの規模と内容に成長してきているけれど、それだって分裂したりくっついたり、色々紆余曲折があったのも事実。そういう「産みの苦しみ」に対して、今の都民ファーストの会の所属議員が耐えられるとは思わないし、大体どちらも大阪や名古屋という主要都市だけれど中央から離れていたから改革が遅々として進まないことに不満があって生まれた地方政党に対して、国政と肩を並べるくらいの力のある東京都が地方政党を作るのって、何か金持ちがまだお金が足りないと不満を言うような白々しさを感じてしまうのだけれど。

小池都政がスタートして一年。これまでに、結果を出した政策もあるんだろうけど、スタート時の目玉案件であった五輪問題と豊洲市場移転問題に関して、未だに結論も結果も出ていない状態。彼女の遣り方を見ていると、自らの目的のために大風呂敷を広げて、それを正当化するためにさらに大きな風呂敷を広げていくような、別の言い方をすると一度ついた嘘を正当化するために別の嘘をついていくことを繰り返していくみたい。で、豊洲にしても五輪にしても、散々騒いで時間とお金を無駄にして、一年過ぎて元のスタートラインに戻ってきただけ。一年遅れた分、失うものばかりで何も利益が出ていない。真っ直ぐ前に進んでいるつもりだったのが、いつの間にかカーブに入っていたことに気が付かず、ぐるりと回って元のスタートラインに戻ってきた脱力感を感じる一年ですよね。

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