2017年7月25日

アンバランスな教育行政

今回の加計学園騒動を見聞きしてふと思ったのは、野党も含めた議員達は「大学無償化」を進めようとしているのに、その受け皿となる大学の新学部設置や多分新大学設置を大きく制限しようとしていることの矛盾を感じないのか、ということ。個人的には、多くの人に教育や学びの機会を与えることには賛成だけれど、それを小中学校の義務教育や、事実上の義務教育的な後攻くらいまでなら分かるけれど、完全に自己選択・自己責任で、専門教育を受けたり研究する場所である大学にまで広めることには反対。それなら、「大学教育」だけじゃ無くて、技術職とか専門学校のようなものも含めるべきだと思うし、社会人学校とか人生を通して学べる環境を考えるべきだと思う。そして、受ける側を事実上無制限に拡大させるのであれば、こちらを増やすだけでは無く、受け入れる側である大学とか教育機関もある意味門戸を広げるべきじゃ無いかと。

20年位前に色々な大学が乱立して、今では経営危機になっている大学も多くなっています。昨日だったか、あの「青短(青山学院女子短期大学)」が、2019年からの募集を中止するというニュースを聴いて、凄く時代の流れを感じたけれど、あれだけのブランド力があっても駄目な時代。逆にそういう淘汰が進むことで、良質の教育機関が残るわけですよね。それって、既存の大学が残るだけでも駄目で、新陳代謝じゃ無いけれど新しい大学とか学部も生まれてこないと淘汰ではなく衰退にしかならない。今回の獣医学部騒動で分かったのは、獣医学部の定員が900名一寸なのに、既存大学では定員水増しをして1200名位が実際には入学しているらしいと言う事。となると、160名位の学部を考えている加計学園が、例えば良い条件であったり魅力的な学部になれば、その水増し分だけでも十分需要はあるだろうし、競争率だって今でも何倍もあるわけだから、受け皿としてはユーズは高いはず。でも、何故か50年以上も新規開設は門前払いされてきた。医学部も同様の状態が続いていて、やっと千葉国際医療福祉大学が出来たけれど、こっちだって特区利用何ですよね。でも、文科省関係者やメディア関係者が天下りしているからか、加計学園ほど話題にならない。

教育もある意味自由競争では有るけれど、だからといって野放しで開学していいとは言えない。そういう意味で、文科省である程度需要共有を考慮する必要は有るだろうけれど、やはり文科省の本質としては、その大学なり学部が経済的にも教育機関としても、必要な条件が備わっているかどうかの確認が仕事のはず。言ってみれば、車の車検の責任は持つけれど、どこのメーカーがどう言う種類でデザインの車を出すかには口を出さない、みたいな。今回の件は、車検担当者が「SUVは足りているから作っちゃ駄目」と言っているようなもの。勿論、法科大学院の件があるから慎重になるのかもしれないけれど、あれは正直乱立させすぎですよね。で、言い方は悪いかもしれないけれど、作るのは各大学の責任なわけで、そこからどれだけ優秀な司法試験合格者が出せるかは大学の責任。that意味で、羮に懲りて膾を吹くじゃ無いけれど、余りに慎重になりすぎるのも問題だけれど、今回の獣医学部新設の話はそんな理由じゃ無くて単に既得権益を維持したい業界が文科省に圧力を掛けていただけで、それに文科省がこれ幸いと便乗しただけ。それって、不当競争の助長でもあるし、省庁として文科省が怠慢であっただけの話し。だから、今回の獣医学部新設の話を聞く旅に、「これって、大学無償化の話しとリンクして、より魅力的な大学の選別をしないといけないのでは」と感じるわけです。

獣医学部の定員も需要も足りている、と言う事を言うのであれば、当然今の環境よりも大学受験者数が増える無償化時代になれば、獣医学部に対しての希望も増えるわけで、この学部以外にも拡充が必要になるはず。でも、門前払いする文科相がいる限り、大学側は既存の学部や学科で対応しなきゃいけない。これ、定員割れのところは定員を充足し、人気のあるところは、水増しして学生を増やせるから経営効率が高くなる。言ってみれば、大学の救済措置にしかならない。つまりは、加計学園問題は獣医学部という既得権益を守るために文科省がサボタージュした結果だけれど、無償化の話になると、既得権益を更に強化するために今度は文科省が進める利益供与と言えるような気がする。正当な競争、高品質な教育を目指すのであれば、大学無償化と共に大学の再編や学部新設を一定期間でいいからそれこそフリーハンドで認めるくらいのことをやるべきでは。

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