2017年7月24日

土用の丑の日

明日の土用の丑の日を控えて、今年は鰻の稚魚が増加しているので例年に比べてお値段が1割くらい安くなっているらしい。でもふと思うのは、絶滅危惧種にも指定されている「鰻」が、それでも少し稚魚が増えているなら、何故もっと保護しようとしないのだろうか。

土用の丑の日に鰻を食べる起源は、江戸時代に平賀源内が売上げ低迷していた当時の鰻屋の「広告」として、体力が落ちる土用の丑の日に「う」がつく「鰻を食べる」という張り紙(宣伝)をしたのが始まりと良く言われるけれど、そうだとすると今の時代では余りそぐわない習慣と言えるのでは。だって、世の中ではダイエット目的でカロリーを落として、サプリメントとか飲んでいる人がいるわけだし。鰻だけで無く、日本の漁業全般に余りに漁獲量制限だけで管理しようとしているために将来親魚になる子供の魚や小さな魚まで取り尽くしてしまい、結果的に資源の衰退を加速させているという話し。これ、もっと真剣に考えるべきじゃ無いかと思いますけどね。

先日もテレビを見ていたら、「新子の鰻」というのが登場していて、これ養殖鰻なんだけど水槽に酸素を供給することで成長を加速させて、通常1年半くらい掛かる洋食期間を一年に短縮して出荷するもの。身が柔らかくて美味しいという話しだけれど、それってさらに鰻の流通を加速させるわけだから、ますます稚魚が足りなくなってくる話にならないか? 別のニュースでは、台湾では絶滅危惧種と言う事で稚魚の採取が禁止になったらしいけれど、そのほとんどを輸入している日本が何も対策しないに等しいのは大問題では。漁業関係のニュースでは、中国とか韓国の乱獲を批判的に伝えることが多いけれど、日本の漁業だって決して誇れるものじゃ無い。漁業というのは、工業製品製造と事なり、何もしなくても自然が自動的に魚を産みだして提供してくれる、一番効率が良い「産業」のはずが、どんどん漁獲高優先で進んできたために、その自然のサイクルさえも追いつかない状態になってきてしまった。世界で一番魚に詳しくて、一番魚好きな国民が、一番自然=海に対して冷酷なことをやっている、と批判されても仕方が無いのかもしれない。

私もお寿司は好きだし、魚も好きだけれど、だからといって好き勝手に獲ったり食べたりして良いとは思わない。日本だけで解決出来る問題では無くて、爆買い爆食の特に中国との連携も不可欠だけれど、鰻以外にも例えばマグロなんて世界的な問題に既になっているわけで、土用の丑の日は食べるだけじゃ無くて、どうしたらこの「習慣」を続けることが出来るのか、もっと真剣に考えないといけないのかも。そういう意味で、妙に安く販売されるスーパーや回転寿司の鰻っていうのも、個人的にはどうかと思うけれど。企業努力有っての事とは思うけれど、だから何でも良いというわけにも行かないだろうし。「土用の丑の日」ならぬ「土用の牛の日」で牛肉を食べよう何て言うこともTLに流れていたけれど、現代風に変えていくのも一つの手かも。将来的に鰻の完全養殖が可能になったらまた別かもしれないけれど、それでもだから自然のものを乱獲していいという話にはならないわけで、もう手遅れになりつつ有るのかもしれないけれど、でも真剣に考え直す時期にしても良いのでは無いだろうか、「土用の丑の日」を。

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