2017年7月31日

ロケット開発をAgileで

昨日北海道から打ち上げられたものの、テレメトリデータが断絶したため飛翔途中でエンジン遮断をして失敗となったMOMOロット、通称「ホリエモンロケット」。宇宙好き、ロケット好き、飛翔体好きな人間の一人としては残念だけれど、目標高度には到達しなかったとは言え、ちゃんと点火して離陸して、途中までテレメトリデータも送信されてきていて、100点満点で言えば65点くらいは上げても良いのでは無いだろうか。個人的にはホリエモン氏には余り良い印象は持っていないけれど、良くも悪くも物事を進めていくバイタリティーというのは凄いと思うし、色々トラブルはあったけれど、こう言うビジネスに投資して継続していくだけの財力もあるのは、単純に凄いと思うし羨ましいと思いますね。

今回の打ち上げ失敗の原因は、まだ詳細は発表されていないけれど、今のところ聞こえてくるのは機体の強度が足らずに、上昇中に何らかのトラブルが発生したのでは、ということ。機体構造の崩壊となると一寸致命的な気がするけれど、仮にそうであっても支持機材とか内部の補強を解析すれば、それ程難しい問題ではないような気もします。いずれにしても、ものを宇宙に運ぶ本体が脆弱では話しにならないわけで、ここはしっかり原因究明をして十分な対策をして欲しいですよね。素人想像だけれど、エンジンも初、機体も初、と言う事で静的な剛性はちゃんと計算されたとは思うけれど、動的に振動とか加速による変形等の部分が、許容値を上回ったり、予想外の負荷を生んだんだろうなぁ。そういうのって、ある程度の実績を積んでシミュレーションデータとか集まるまでは、実際に打ち上げて確認するしか方法かないですからね。

今回のロケット、日本での初の民間うち下ということが注目されているけれど、それ以上に重要なのがコストダウン。JAXAのH2に比べて1/100位の打ち上げコストを狙っているわけで、当然製造コストを劇的に落として初めて可能なこと。今は開発途中だから、そこまでコストダウン出来てはいないと思うけれど、それでもH2等と比較して格段に開発製造費も安いはず。それを活用して、打ち上げ頻度を上げて経験知を積む、と言う事が可能なのが、このホリエモンロケットの強みじゃ無いかと思うんですよね。言ってみれば、ソフトウェア開発のAgileみたいな感じで、作りながら飛ばす、飛ばしながら作るを短期間に繰り返して、経験知と技術と信頼性をアップさせていくことが、ロケットを成功させる以上に、開発工程の確立と言う意味で大切なんじゃ無いかと。打ち上げ後の会見で、ホリエモン氏は年内に再挑戦を目指す発言したらしいけれど、年末になればなるほど北海道という土地柄気候条件は厳しくなるわけで、可能なのは11月位までだろうか。予備機とか次の二号機の準備が現在どこまで進んでいるか分からないし、今回の原因究明と対策にどれだけ時間が掛かるか分からないけれど、例えば四半期に一回テスト機の打ち上げが出来れば、多分2~3年位で実用的なロケット完成に届きそうな気がする。

しかし、個人でこう言う事が出来るのは、本当に羨ましいなぁ... お金だけの問題じゃ無いと思うんですよね。良くも悪くも、やる気が無いと、なかなかここまで踏み込めない。それがあるから、ホリエモン氏が叩かれることも多いのだろうけど、これで少し周りの考え方が変わった言ったら、それはそれで日本にとっても望ましいんだろうなぁ。

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