短距離の世界記録保持者、ジャマイカのウサインボルト選手が日本のエース・桐生祥秀選手に対して送ったという話の内容。この最初に話をしている「トップスピードに到達したらそれを落とさないこと」という理論は、もう40年以上前に高校の陸上部で短距離選手だった自分達に顧問の先生から言われていたことと同じ。
良く短距離の練習では、スタートダッシュをしてスピードを上げて、中間からラストまで更に加速してゴール、みたいな事を言うけれど、実は実際問題として体力・スタミナや走り方の問題で実は後半スピードアップするというのは非常に難しい。本当に必要な走り方は、1) スタートからできるだけ素早くトップスピードに加速する、2) トップスピードに到達したらそのスピードを落とさない走り方を最後まで維持する、事なんですよね。
陸上の短距離走をグラフで表すと、縦軸にスピード、横軸に時間をとり、原点(0.0)がスタートラインで、そこから右に折れ線グラフが伸びていく形に表せます。グラフと横軸との間の面積が距離になるので、この面積が100mになる場合にどれだけ横軸方向を短く出来るかが速く走るコツ。縦軸のスピードは、必ず0から始まるから、スタートからしばらくの時間グラフは必ず斜めの軌跡を描き右に伸びていくわけです。で、トップスピードに到達するまでの時間差は多少はあるけれど、普通はトップスピードに到達し暫くそれを維持(水平)に伸びた後、徐々にスピードが落ちていくわけで、だからその後半のスピードを落とさないことが、イコール後半のスピードアップ見たいに見えるわけです。
言葉だけで説明するのは難しいけれど、どうしても速く走るために「後ろに強く蹴り出す」という意識を持ってしまうけれど、それは間違い。静止状態のスタートからある程度のスピードに到達するまでの「加速状態」の時には、自分の重心を動かして加速させるために「蹴り出す」動作は必要だけれど、段々と加速して体が縦位置になると、蹴り出す足の位置が重心位置とほぼ垂直になるため、蹴り出す動作をするには余計な力が必要になり不利。トップスピードに到達したなら、そのスピードを維持するために、以下に「抵抗のない走り方」をするかが大事。イメージとしては、走る時には必ずどちらかの足を前に振り出すので、その振り出した足を素早くせっせされて体を前に引き寄せて、そして素早く足を畳み込んで、反対側の足を前に振り出して、... を繰り返すこと。「地面を蹴る」のではなく、「前で引っ掻く」みたいな感じ。トップスピードに到達して加速度が無くなると、後は減速していくわけだけれど、その減速を以下に回避するかが中間走からラストの走り方。だからヒップスイングにしても、意識するのは後ろへ振り出しではなく、鞭を打つ感じで振り出した前足をぴしゃっと地面に打ち付ける感じで減速した分を補強する感じ。
まぁ、偉そうな感じで行っているけれど、とても自分が日本記録に絡む記録なんて出せなかったけれど、それでも高校に入った頃は100mを12秒を切るかどうかくらいの選手だったのが、3年の後半には公認で11秒3、非公認で11秒2まで行きましたからね。取りあえず100mで県大会の決勝まで進んだから、それなりに効果はあったと思っているけれど(笑)。世界トップの選手と競技理論が一緒(別に私が考え出したわけじゃ無くて、恩師の教えですが)と言う事を知って、ちょっと嬉しい。
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