2017年4月18日

自分の欲する物を信じない

数日前、北朝鮮の金日成生誕105周年記念式典の様子がニュース等で流され、その時に現在の金正恩書記長肝いりの高層マンション群の様子も流されました。で、とある人が、そのマンション群は実は外側だけ作られた「張りぼて」だとTLに流すと、それが一気に拡散。やっぱりな、というイメージに誰もが納得したんですが...

私も最初このニュースを見た時、「あぁ、やっぱり」と思ったんですが、その「張りぼて」というマンション群の写真(Google Map)を見ると、どうもニュース映像で表示された高層マンション群のように思えない。高層マンションは、六角形、八角形の様なかなり縦長のデザインの建物。近い例で言うと、新宿都庁周辺の高層ビル群当たりの光景が近い感じでしょうか。で、「張りぼて」と言われて提供されたGoogle Mapの画だと、かなり横幅が広い建物があり、確かに見る角度によっては細長のビルに見えなくもないだろうけど、新宿ビル群のような光景には多分見えなさそう。さらに言うと、この張りぼてビルの並びの様子等が、建てられている通りから見た時に大きなビルに見えるようにと言うよりも、何か防御壁のようになっている感じがします。これ、防火壁団地として有名な「都営白鬚東アパート」にそっくり。東白鬚アパートは、ほぼ一直線に横に伸びて文字通り「壁」を築いているけれど、今回の北朝鮮のビル群は一つのブロックを囲い込むようにして並んでいるものが多く見られます。まるで、そのうち柄の中庭部分を防御するような感じ。北朝鮮のことだから、何か戦術的な意味があって防火壁と言うよりも防御壁あるいは防御拠点としても準備された建物だろうかと邪推してしまう。

そんな感じで、うーん、あの高層アパートのビル群とのイメージに合わないなぁと思っていたら、「場所が違う」という情報が流れてきて、結果的に最初の情報はそれが意図的に間違った物が流されたのか、たまたまGoogle Mapで発見した人が「やっぱり」と早とちりで拡散したのか分かりませんが、「誤情報」だったことが分かりました。やっぱりなと思いつつ、まぁどう言う理由か分からないけれど、良くもタイミング良くこう言う画像を見つけてくるなと感心してしまいます。

最初に流されたGoogle Mapの映像が、本当に勘違いから出たものなのか、意図的に誤解を生むために流された物なのか分からないけれど、それを受けた人が先ず考えないといけないのは「どんな情報にもノイズが含まれている」ということ。明らかに「ノイズ」と分かる場合も有るけれど、そうとは分からず正しい情報の一部と誤解してしまう場合もあります。そう言うものを見分ける能力なる「情報リテラシー」が今は必要な訳ですが、誰もが十分なリテラシーを持てるわけではない。これ別にネット時代だからと言うわけでも無いと思うけれど、昔は提供される情報量が少なかったからそれでもまだ判断する余裕もあったけれど、今は逆に情報量が多すぎて分類判断するのが大変なために、たまたま自分にとって都合の良い情報が目に入るとそれに飛びつく傾向が顕著ではないかと。情報に接する時に一番重要なことは、どんなことでもそれを鵜呑みにせずに、先ずは疑問を持つこと。その疑問が解決される理由が自分で納得できる物であれば、それは正しいと判断出来るし、そうで無ければ疑うわけですが、その疑問に対しての情報もまたバイアスが掛かっているかもしれないからややこしい。そういう所が、ネット上で情報に接することの難しさ中と何時も感じますね。やはり、自分の欲する結果にあった情報を鵜呑みにするのではなく、反対の意見の情報を検証していき、それらが否定されることで自分の正しさを確認するという筋立てを常に意識することが大切だけれど、それがなかなか出来ないんですよねぇ...

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