この週末開催されていた東京都の豊洲市場移転に関しての百条委員会。全部ではありませんが、石原元都知事やキーマンである浜渦元副知事のやり取りを中心に見ましたが、正直この百条委員会の目標設定が不味いんじゃ無いのかというのが第一印象。私としては、委員会は豊洲市場移転に関して、元々東京ガスが所有していた現在地の土壌汚染に関して、その汚染の有無では無く(それは事前に分かっていた)、汚染除去に投入された800億円以上もの費用に関して疑問を追求するのかと思っていました。ところが委員会側の都議会議員の質問は「誰が豊洲移転を決定したのか」という事にこだわっていて、「それは石原元都知事です」という答えのみを期待したシナリオ通りに動かそうとしている。
例えば石原氏やその親族が何か建築会社や土木会社を経営していて、その会社が豊洲移転に関して不透明な利権を得ていたとか言うならそう言う追求方法も理解出来る。あるいは、決定に関して手心をくわえて、東京ガスに有利になるように石原氏が誘導したというなら、まぁ今回の膨大な汚染除去費用に関しても整合性を感じられるけれど、でもそれは基準以上の清廉さを共産党や当時の民主党政権時の湧水大臣がヵ条要求したからと言う事も言える。結果的に、そう言う総合の要求事項が議論の結果決定されて現在に至るわけだから、石原氏が言うように当時の都政最高責任者として決定したことは石原氏の責任ではあるけれど、そこに至るまでのプロセスは全て都議会で審理されて決定されてきたわけだから、それは都議会の責任でも有るはず。
今回の話を聞いていると、多分東京ガスとしては将来的な発展が見込めるこの土地を自社の商業施設として活用したかったことは確実では。実際、りんかい線豊洲駅周辺の発展具合を見ると、銀座方面にも近いこのあたりは上手く開発するとかなり付加価値の高い資産になりそう。一方で、それなりの規模で且つ、多分市場側の強う要求だと思うのだけれど現在地の月時からそれ程離れていない場所での移転営業を要求したので、現在の豊洲市場という場所しか無かったのでは。以前浜渦氏が「ゴゴスマ」に出演して今回の話をしていたとき、実はもっと広い場所で内陸部に候補地があったけれど、それは市場側から拒否されたと話をしていましたし。現在の築地が当時の主流輸送手段である船による荷揚げを前提にあの場所に出来たのに対して、現在では冷凍トラックでの輸送がほとんどですからね。海側に作るメリットは「魚=海」という連想を生むことくらい。
大体よく分からないのは、石原氏がそれまでの基準を下げて豊洲に移転しようとしたのに、それが不適切だからと責めるなら理解出来るけれど、彼は逆に基準設定を必要以上に上げて移転を進め、それを過剰だと舛添氏が下げて可決していたもの。だから、責めるのであれば舛添氏を責めるべきなのに。で、小池都知事はそれを駄目だと、下げた規準を石原氏と同じところまで戻したわけで、石原氏が駄目で小池氏が良いと言う理由が分からない。手続きから言えば、石原氏も舛添氏も、ちゃんと議会に諮って了承されたのに対して、小池氏は一存でそれらをひっくり返したわけだから、彼女のほうが後々責められる可能性は高いはず。
「安全と安心」と言うけれど、安全性は既に確認されていて、「安心」にしても正直マスコミや移転反対派が煽っている部分の影響が大きいんじゃ無いだろうか。彼女自身に、例えば築地に留まる、豊洲に移転する、という決意があるなら、その方向で彼女自身がエンドースすれば良いだけのは無しだけれど、今の様子を見ているとどちらにしても反対が生まれるのあれば、自分の責任にならないように第三者あるいは都民に決定されることで、自分自身の責任を逃れようとしているようにしか見えない。選択肢としては、築地、豊洲、それ以外の3つしか無いわけで、少なくとも豊洲に関して「安全」であり「何時でも稼働可能」な事は確定しています。一方築地は「現在営業中だから安全安心」と言っているけれど、昔からの問題は解決されていないし、さらにこれまで見過ごされてきた問題も出てきていて「安全安心」は揺らいでいます。となるなら、第三の選択肢をちゃんと示して、その中からゴール設定をするのが知事の仕事だと思うけれど、結局自分では何もやらない。石原氏が「小池都知事の不作為」と言っているけれど、その物ズバリだぁと思うわけです。
質問を受ける側は「記憶」しか無いわけで、質問をする側が何か決定的な資料なり証拠を出さないと、結局は噛み合わないまま終わることに。我々の世代だと、ロッキード事件の証人喚問を記憶していますが、あの時はプレッシャーでサインも出来ないくらいで、そう言う中で隠していたことを言ってしまうことはあるかもしれない。でも、今回の場合は、もう10年以上も前の記憶も定かでは無いだろうし、その中で確固たる証言を引き出すにしては質問者側が力不足であったことは一目瞭然。百条委員会を仕掛けた側が、実は自分達の力不足を露呈して失敗して終わってしまったように感じられますね。
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