何か個人に対しての怨念バトルみたいになってきた豊洲移転問題。で、久しぶりに冷静でまっとうな批評だなと思ったら、それが朝日新聞の記事でもう一度ビックリ。確かにこれまで分かってきている豊洲移転の経緯では、都庁内の会議対での情報共有不足や、説明の不味さなどがあるけれど、そうであっても築地に残るメリット・デメリットと豊洲へ移転するメリット・デメリットを検討しての結果。実際、豊洲へ移転する場合の最大にしてほぼ唯一の問題点は汚染除去だったわけですが、土地改良事業で問題の無いレベルに改善されているし、大体豊洲市場自体が閉鎖空間での作業を想定しているわけで、外の影響を受けないデザインのはず。これが、工業地帯のような大気汚染などの厳しい場所での話ならまだ分かるけれど、周りは再開発されて普通に生活している分には全く問題な居場所での話。それで市場内部に影響があるなら、その建物自体の問題のはず。
最近の小池都知事は、この豊洲の問題を環境汚染から石原元都知事の決定責任へと矛先を変えた雰囲気ですが、石原氏個人が何か利益誘導したなら別だけど、正当な手続きを踏んでけってされたことは都知事の責任では無く東京都の責任になる気がするんですけどねぇ。小池氏の政治手法として、悪や不正に対する正義の味方的演出が続くわけですけれど、流石にここに来てぼろが出てきている感じです。実際、昨年末には豊洲新市場の建物の検収が終わって東京都に移管されているわけで、仮に何か問題があるのであれば拒否しなきゃいけない。
今回の豊洲移転保留で感じるのは、その間にどんどん大田市場の認知が広まっていて、多分ほとんどの人は東京都の市場って築地しか無いと思っているんじゃ無いだろうか。都内には11箇所の中央卸市場が有り、その中でも大田市場は築地くらいの規模というのを聞いてびっくりする人が多いのでは。だから、築地が駄目で豊洲も駄目なら太田にしたら、と言う話も出てきてしまう。結果的に、今ある築地市場の価値も下がるし、豊洲に対しても同様。誰にとっても特にならない時間だけが経過していく結果になるんですよね。それと、最近では卸市場を通さない生産者(=漁師、漁協)と消費者をダイレクトに結ぶ仕組みが誕生していること。全体の規模にすればまだまだその規模は小さいのだろうけど、今後漁業が縮小していき、今のように大量に漁獲できないようになると、こう言う大きな卸市場の存在価値も低くなっていくんじゃ無いだろうか。だから最初のリンク先の記事にも書かれているように、漁業を守る育成していくという視点から始めないと、仮にこのまま築地に止まるにしても先細りなのは確実。
最近聞いてびっくりしたのは、最近では韓国とか中国の漁業管理の方が日本よりも進んでいて、逆に日本の方が乱獲や漁獲制限などの不足で資源が減っているという事。勿論、全てがそうでは無いだろうけど、「有るから獲る」から、「獲るために育てる」事を考えないと。日本の場合は養殖技術の開発も盛んで、それはそれで重要だと思うけれど、だからといって自然資源が枯渇しても良いわけでは無いわけで、ちょっと視点が違うなと言う気がします。いずれにしても、自らが疑問を呈している市場問題なのだから、知事自らが先ずはゴールを決めて、後はそこに向かってどれだけ早く安全に確実にゴールインできるのかと言う事を最優先しないと。自分の都合で先延ばしにしているようにしか見えないところが、今ひとつ小池支持が盛り上がらない理由では。
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