まさかライスボウルネタで三日も記事を書くとは思わなかった(笑)。試合後、フットボール界隈でちょっと話題(問題?)になっている、THE PAGEに掲載された本郷陽一氏の記事。力の差が開きつつある、社会人チャンピオンと学生チャンピオンとの対戦となるライスボウルの開催意義に疑問を呈した内容になっています。元々は、東西の大学生オールスター戦で始まったライスボウル。社会人vs学生の対戦形式になってからは、暫くは学生優位が続いたので、その頃は逆に「弱い社会人相手の試合に意味があるのか」みたいな議論がされたものだけれど、2000年代に入り社会人が優位になってくると、今度は「選手が集められる社会人優位は当然」みたいな意見が出始めるわけで、個人的にはちょっとそれって迎合しすぎじゃ無いかと不満を感じます。社会人だって、強くなるため、勝つためにチーム補強しているわけですからね。勿論、大学に入学しないとそのチームに参加出来ず、また4年過ぎれば必ずチームを卒業しなければならない学生の方が、選手層という意味では比較的自由度が大きい社会人よりも不利なのは確か。ただ一方で、フットボールに没入できる時間は確実に学生の方が多いわけで、システム作りや日々のトレーニングでは学生有利は確か。実際、ここ数年は社会人の勝利が続いているけれど、どの試合も接戦・熱戦なわけで、たまたま今年はこれまでに無く点差が付いたけれど、それを持ってライスボウルの全ては語れないように思います。
今回の記事も、前半から後半に掛けては両チームの戦力分析をした、まぁ普通の内容だと思うのだけれど、最後になって戦力不均衡に関して述べるところには一寸疑問符が。社会人チームには、米国のトップカレッジチームのQBやRBが揃っていて「NFL級のTDパス」が関学の敗因になったように書かれています。確かに、QBキャメロン選手のTDパスは素晴らしかったけれど、彼のパスが脅威なのは事前に十分分かっていたはずで、それをWRとDBのマッチアップで止めようと思っていたとしたら、それは関学の戦術ミスだと思う。自分も試合をテレビ観戦しつつ「あれ、関学ってシーズン中の富士通のビデオ見てないのか?」とふと思ってしまうようなシーンが何度かありました。仮に自分が監督だったら、少なくとも前半は徹底的にQBにプレッシャーを掛けるようにしますね。ブリッツの多用は勿論、例えば徹底的にCと当たって疲労させて、QBとのコンビネーションを狂わせるとか。実際RBのゴードン選手は良く止められていたので、LB/DBの勝負は互角だったと思うので、後はQBに対してどれだけ対策できるかが、この試合の学生側のゲームプランだと思ったのですが。
特にコラム最後には、社会人チームの外国人選手の登録枠に関して、何か勘違いしている記述もあり、よく分かりません。大学生チームでも、日大や早稲田大では外国人選手が活躍しているので、どの様な選手をリクルートして活用するかは、大学チームもそれ程違わないと思うのですが。仮に、戦力不均衡を是正するというのであれば、学生チームは社会人野球のように対戦したチームから戦力補強のように選手を追加する方が現実的(減らして均衡にするのでは無く、増やして均衡させる)だと思うけれど、野球のように代打とかポジション補強のような形ではなかなかシステムスポーツのフットボールでは活用するのは難しいので、これは現実的では無いかなという気もします。あるいは、学生チームに関しては、当日出場可能選手数を80名とか90名とか増やすというのも有りかもしれない。ただ、今回の結果だけ見て不要論を言うのは公平では無いと思うし、可能なことは取り込んでやはり「日本一を決める試合」というのは残して欲しいですよね。
関学の鳥内監督は、以前から学生は甲子園ボウルが目標で、それで終わりという言い方をされていたので、今回も同じ事を言われているけれど、それはそれで目標設定としては良いと思うのです。ただ、特に学生チームに関して言えば、世界大会なども考えると、社会人チーム、特に今回の様にトップクラスの外国人選手との対戦は、凄くメリットになると思うんですよね。そう言う方向にライスボウルを持っていくのも一つの方法だと思う。だから、大学オールジャパンvs社会人オールジャパンの試合にするとか、大学側はオールジャパンにするとか。いずれにしても「日本一」という冠がついた大会は、各スポーツ一つだけなわけで、そこに兆背する意味は決して小さくないと思うんですよね。今回の試合は、学生チームは力で負けて、さらに技に溺れた印象があります。力には技と和(チームワーク)で勝利してきたのがこれまでの学生チームの特徴だと思うので、来季は是非社会人では出来ない「巧みなフットボール」を見せて欲しいなと思います。
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