2015年8月3日

「徴兵制」ならぬ「徴職制」

もしかしたら、今年の流行語大賞にもノミネートされるかもしれない(?)言葉の一つ「徴兵制」。昔の戦争のように、相手国に攻め込み、陣取り合戦を繰り返すならば人海戦術も有効だろうし、そうなると人を出来るだけ集めた方が勝ちと言う考えも生まれるだろうけど、近代戦ではそう言う戦いは先ず無いと思うし、しかも単に人が並んで歩けば良いというわけでも無いわけで、そうなると仮に何万人集めたとしても、それらの人材を教育して士気を高めて実戦投入するにはかなりの苦労と手間と時間とお金が掛かりそう。

仮に国内で何か作業させるためだけ(兵站とか)なら、まだ可能かなとも思うんですが、海外に派兵してしかもそれなりの働きを期待するような人材は、先ず集まらないでしょうね。で、そんなことを熟々考えていたら「徴兵制」だから問題になるんだろうけど、じゃぁいま無職だニートだと言っている人達を強制的に職に就かせる「徴職制」なるものを発動したらどうなんだろうか。今のところの失業率は3.6%位だと記憶していますが、これらの人達を強制的に何かの職業に就かせて仕事をさせて、生活補助とかを無くし、逆に徴税や健保を払わせる様な「酷い仕打ち」をしたら(笑)どうなるのだろうか。

「職業選択の自由」があるわけだから、実際にはそう言うことは出来ないはずだけど、でもそれよりもさらに厳しい条件の「徴兵制」が復活すると言っているわけだから、あながち不可能なことでは無いはず。どう言う仕事に引っ張られるかは、今のところ人材不足になっている業種が優先するだろうから、コンビニとかの接客業や、ずっと人手不足が言われている介護業界、さらには2020年のオリンピック・パラリンピックに東北復興などで暫くは受注残が続く建設業界等等、「人手が欲しい」と思って居るところは沢山あるでしょうね。

徴兵制の場合は、既に仕事をしていても兵役を優先して収拾されるわけだから、じゃ「徴職制」もそうするのかというのは一寸微妙でしょ。ただ、何かチームリーダーとか、プロジェクトマネージメント等、経験が要求される場合には、今の仕事から無理矢理剥がされて新しい職場に配属されるかもしれない。まあ、問答無用に仕事をアサインされて、その仕事を達成しないと懲罰の対象になる、と言う話は、一昔前の社会主義とか共産主義の世界の話だったわけですが、そう言うシステムを運用していた国々って、今では殆ど資本主義のシステムへ以降するか、折衷案みたいな事をしているわけですよね。社会主義のロシアにしても、独裁的な政治体制ではあるけれど、資本主義が大きく取り入れられていて、ただいまのプーチン大統領の二期目では再び社会主義的な方向に戻りつつあるけれど。共産主義中国にしても、政治と経済は別として積極的に資本主義のシステムを取り入れてきたけれど、結局儲かったのは政府系の企業ばかりで、しかも政府が経済を自由に動かしているから、かなり歪みの入ったシステム構成になりつつ有り、正直なところいつまでその無理が持つのか疑問なくらい。結局「徴職制」を強いていた国々も、それを諦めていることは確かなわけで、じゃぁそれよりも遥かにハードルの高い徴兵制が本当に機能するのかと言うと、個人的にはさらに疑問なわけです。

お隣韓国では、未だ北朝鮮と戦争状態(今は朝鮮戦争は休戦状態)と言う事もあり、一定年齢以上の成人には徴兵義務があるわけですが、その韓国ですらその運用には色々問題があり、徴兵逃れも有り、正直なところ有効に機能しているとは言えない状態。日本でやれば、それよりはましなシステムとして機能するかもしれないけれど、それだって甚だ怪しいわけで、それでも「徴兵制復活」と連呼している人達の根拠って一体何だろうと凄く疑問しか残らない。結局は、何かのパフォーマンスでしか無いんだろうなと、一寸覚めた目で見つつ、可哀想になってきてしまいます。

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