2015年3月14日

食い違い

民主党の岡田代表とドイツのメルケル首相との対談で、最初はメルケル首相が所謂慰安婦問題に言及したと言われたものが、日本国内の報道を受けてそう言う事実は無いと否定してきたというニュース。岡田氏としては与党政府に対して格好の攻撃材料を得たと思ったら、いきなりはしごを外された格好になったわけで、当然「確かに聞いた」というわけですが、本家本元のドイツ政府報道官が否定しているわけだから、公式には「そう言う発言は無かった」と言うことにしかなりませんよね。

一番想像される理由は、間に入っていただろう通訳が意訳したということ。確かこの会談では、政府関係者は入っていなかったという記事を読んだ記憶があるんですが、そうなると日本語ドイツ語の通訳も民主党が自前で手配した人材だと思います。その人が国際政治とかに詳しい人ならばそれなりにちゃんと翻訳するんでしょうけど、それでもリアルタイムに通訳しなきゃいけない場合、どうしても前後の意味を補完する形で自分の想像なり知識なりからの情報も混ざるんじゃ無いでしょうか。その為に文脈の流れでドイツ側が自らの立場を言及しただけなのに、そこに日本への投影も含めた意訳が生まれてしまい、それが「所謂慰安婦問題」という形で岡田氏は理解した、と。当然、その時の会話の内容を録音して残しているわけでも無いだろうから、後は水掛け論にしかならないわけですよね。

岡田氏としては、やったと思ったらいきなり卓袱台返しを受けたわけで面白くないのは想像されるけれど、でも発言本が「そう言う事実は無い」と公式に否定したら岡田氏としてもそれを覆す材料が無い以上、それを受け入れるしか無いでしょうね。彼がドイツ語に堪能で、直接会話して理解した内容ならまだしも、そうじゃ無いだろうから。

ドイツ側としても、実はそれっぽいニュアンスで話はしたけれど、日本でもそうだけどそれ以上に韓国で取り上げられて話題になって「拙い」と思ったのかもしれませんね。韓国では、やたらとドイツと日本の立場の違いが強調されて、「ドイツに倣え」と指摘されるけれど、ドイツとしてもその度に自国の戦後の記憶が蒸し返されるわけで、決して愉快な話では無いでしょう。どこの国だって100%の満足、100%の解決なんて言うのは有り得ないわけで、どんな場合でもそれぞれが妥協点を見つけ出して納得して納めているわけで、それをまた寝た子を起こすことになるわけですから。ドイツとしては、「韓国、少し黙ってろ」という気持ちを込めての報道官の否定報道なんだろうなぁと、勝手に想像したりして。

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