2015年2月12日

爆買いの先

来週から始まる旧正月「春節」を前にして、早くも訪日中国人観光客の「爆買い」が始まっているみたいです。一寸ビックリしたのは、最近の売れ筋商品の1つが「便座」だということ。確かに日本の温水洗浄便座は、日本以外では殆ど観られない半面、その利用価値は経験した人の殆どが虜になるくらい便利で気持ちの良いもの。ただ、温水便座は電気と水の設備が必要なわけで、その点は大丈夫なんだろうか。水道は水洗トイレであれば、分岐して使えるかもしれないけれど、あの洗浄用の水は飲料水レベルのものが必要との事で、日本以外の地域ではその品質は問題無いのか疑問。さらに、日本は軟水だけど、中国などは硬水だと思うので、その点も大丈夫なのか。まぁ、中国人のことだから、その辺りは何とかしちゃうんだけど。

ビザ条件の緩和、円安、免税対象の拡大等、色々な条件が重なっての事だとは思うけれど、それでもこれだけの訪日観光客が来ているのは、日本という国に魅力があるから、日本で販売している商品に魅力があるから、というのは大きな理由だと思います。何度も書いているけれど、以前の日本の団体旅行では特に欧州のブランド品を買い漁り、顰蹙を買ったわけですが、その時も化粧品等はあったかもしれないけれど、今のように生活必需品を買い漁るなんていう事はなかった。今回の中国からの旅行者による爆買いは、一つ一つの単価はブランド品よりは安いかもしれないけれど、一度購入してお終いというブランド品と事なり、消耗品だから何度でも購買行動が期待出来る点は大きいですよね。余裕が出来れば、何度でも日本に来て買い物をしてくれる。ただその時に注意しないといけないのは、その為には常に「日本」という国、あるいは「日本製」という商品が、世界でもここにしかなく、且つ品質は勿論機能やデザインなど、魅力的で有り続けないといけないと言う事。家電製品なんか、日々日本のメーカーの改善が進むだろうけど、それでもメーカー自体が国内で淘汰されてきていて、その競争原理が衰退していくのも事実。上手く海外のリソース等も使って、どの様に魅力維持が出来るか、これからは一寸異なる工夫が必要でしょうね。対日本人向け商品とは少し異なるテイストが、海外からの旅行者特に中国からの旅行者向けには必要になるかも。

中国、また東南アジアの人口を考えると、よほどの円高にならない限りはこの傾向はまだまだ続くとは思うけれど、いつかは必ず飽和する、あるいはブームは終わるもの。その先を見据えた投資や開発は今から初めても遅いくらいかも。消費財なので、必ず直ぐに使い切り次の製品が欲しくなるから、その周期を上手く利用して日本製品から逃れられない体質にしてしまうと言うのが一番でしょうね。価格競争になるとどうしても日本製品は不利だけど、逆に言うとコスト競争、価格競争とは別のマーケットで商売出来るのは大きなアドバンテージでもあると思います。で、そう言うマーケットを維持するためにはどうしなきゃいけないかというと、とうの日本人自体の生活や経済が良くならないと良い製品も出てこないわけで、結局は今の爆買いを利用して国内に還元するか、先ずは国内をよくしてから海外向けにも目を向けると、ちょっと鶏と卵的な話にもなるかな、と。その為にも、廃れつつあるような昔からの技術や匠とか、あるいは地方にだけ残るような独自的な商品とか言うものも、しっかり残していかないといけない。希少性というのは、不要になったから廃れている場合もあるけれど、逆にだからこそ日本人からは予想も付かない魅力や価値を海外からは感じられるかもしれないわけですし。JAの話も似た話だと思うけれど、昔と同じ事をやっていては伸びないし、昔と同じでいたいと思ったらもう負ける世界。自分がどう変化できるか、そこからどう新しいビジネスモデルや商品やデザインが生み出されるかが、重要。でも、それって日本人が昔から好きでやって来たことなんですよね。決して新しいことを要求されているわけでは無いことは理解しないと。それが継続出来る事が、海外からの観光客増加にもなるし、結果的に「日本の味方」作りにもなると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿