2015年1月6日

歴史の視点

元日に発表された、天皇陛下の年初のご感想で「満州事変」に触れられているというので話題になっていました。それにより、国内外で色々な解釈が生まれて、特に海外メディア、特に特に中国・韓国メディアはこれ幸いとこれまで以上に政治問題化させて、「安倍政権の右翼化」を声高に言い立てるわけですが、一寸考えてみるとそれはどうかと思うわけです。

この記事でも触れられていますが、毎年のご感想の中で、太平洋戦争に関してはこれまでも触れられているんですよね。そう言う意味では、あのような争いを繰り返してはならないという趣旨に変わりは無いわけで、特に新しい内容が含まれているわけでは無い。

逆に私が感じたのは、これまでのお言葉では太平洋戦争全般を何となく網羅した感じの印象だったのが、今年のお言葉では満州事変から終戦までと明確にされたことで、逆に、ではそれまでの日本の統治政策や其れ以前の戦争に関してはどうなんだろうと思うわけです。

人間一人の人生を振り返るときですら、あれは○でこれは×と単純に白黒割り切れるわけでは無いのに、それが一つの国の話になれば、ますます難しくなります。そう言う色々な綾が折り重なって生まれてきた現在とそこから先の未来をどうするかが一番大切なわけで、そこから幾ら過去を振り返ってみても結論が変わるわけでは無く、単にその人の考え方一つで良くも悪くもなるのが「歴史」というもの。例えば韓国のメデイアでは今回の発言で、天皇陛下(韓国では「日王」ですが)が一歩踏み込んだみたいな事を言っているけれど、逆に言えばその当時まだに本に併合されていた韓国や台湾のことは何も触れていないわけです。また、満州事変以前にも中国に日本は進駐していたわけですが、それにも触れていないわけです。また、戦争という意味では、日清、日露と、其れ以前にも戦いがあったけれど、それらにも触れていないわけです。あくまで直近の戦争に関して、繰り返してはいけないと言う事を言われているのが、今年も其れ以前でもご感想だと思うわけです。

今年は終戦70年という事で、中国辺りでは大々的にお祝いするようですが、当時戦っていたのは現在の共産党組織では無く台湾に逃げた国民党だったと思うのだけれど、その矛盾はいいのだろうか。それに、戦勝国は「勝利」を祝い、敗戦国は「反省」するのは良いけれど、どこの国も「70年間争いが無かった」事はお祝いしないんですよね。アメリカ、イギリス、ロシア、中国等はその間にも戦争をしているわけで、方やドイツ、フランス、イタリア、日本等は所謂紛争行動には荷担していないはずで、その70年間を祝い事をどこの国でもやらないのが個人的には一番の不思議です。そう言う視点が存在してもいいはずなのに。単に、勝者と敗者を確定させようとすることが、平和に対しての冒涜のような気がします。そう言う視点でこれまでのご感想を見ていると、少なくとも天皇陛下は平和が続くことを一番に臨まれているのであり、殆どの国民や他国の人もそうであるのだろうと感じるわけです。

素直で無い人間だけが、良くも悪くも我田引水するんだろうな。

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