2015年1月9日

獺祭の科学

日経ビジネスに掲載されている、山口は旭酒造の名酒「獺祭」の誕生秘話。色々なメディアに何度も取り上げられているので、真新しい話ではないけれど、古い日本酒の世界に、今の技術を取り入れて、新しい日本酒を作るというのは、最近個人的に嵌まっている「積み上げの美学」みたいなものを感じます。単純に足し算していくんじゃ無くて、古いものの上に新しい物を、崩れないように積み上げて新しい「形」を作るという意味で「積み上げの美学」。複雑・多機能化していく製品から、不要なもの邪魔なものを抜いてシンプル且つヘルシーな製品にしていくのが「引き算の美学」なら、それとは一寸異なる方向性の製品作り。複合商品というのが「足し算の美学」で生まれるけれど、それとは一寸違うわけです。

日本酒離れとか日本酒の低迷が言われているけれど、それってやはり「時の流れ」を取り込む、あるいはその流れに乗ると言う事も重要だと思うんですよね。音楽の世界で「クラッシック」と言われている分野は、もう何百年前の曲でも現在でも受け入れられているものなわけですが、それって元々の音楽が素晴らしいと言う事もあるけれど、その時代時代でのアレンジ、あるいは演奏者の解釈を受け入れていってその時代を生き延びる「余裕」があったからとも言えるのでは。

ただ、だからといって最新技術を取り込むだけで上手く行くわけでは無くて、取り入れどころもあるだろうし、逆に昔からの方法を残さなきゃいけない部分もあるだろうし、そういう所を見つけていく努力が一番難しいでしょうね。

今回富士通と製造以前の米栽培にITを導入するわけですが、それがさらに進めば天候管理とか水管理に、もしかしたら作業する人の健康管理何て言うところまで遡るのかも。作る人だけで無く、美味しくお酒を飲むためにユーザーに対しても健康管理を要求する時代にもなったりして。まぁ、そこまでは半分冗談ですが、でもその時の体調をモニターして、一番あったお酒や料理を提案してくれるような「科学的食べログ」みたいな機能は生まれるかも。そうなるとお酒の見方も、今のように一升瓶から継いで飲むのでは無く、複数のボトルから自動的に調合して飲むようなスタイルになったりして。

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