2015年1月7日

国内回帰

ここ数日、色々な企業がこれまでの海外での生産を国内に切り替えるニュースが流れています。これまで、安い労働力を求めて中国からさらに東南アジアに進出していたものの、その中国ですらレイバーコストが大幅に上がり、さらに最近の円安でかい害精算のメリットも減ってきたため、国内生産に変更しているとのこと。私が中国などのベンダーさんと仕事をしていた10年くらい前だと、日本で言う派遣・契約社員の半分以下、30~40%位でしたね。当時は日本語の能力がまだ不足していたので、日本語能力保持者と言うと一気に上がっていたけれど、ある程度英語が出来れば良かったので、そういう人は結構多く居て、だからコストも安い方でした。その分、技術能力のある人に発注出来たので、確かに日本国内の同業の人にとっては大変な時代になるなと、当時から感じたものです。その当時30%強のレイバーコストは、今では日本の70~80%位にまでアップしているんじゃ無いだろうか。現地のエージェント経由でそんな感じなので、仮に直接現地採用とかしたら、もっと安いのかもしれないけれど。感覚的には10年前の倍という感じですよね。

まだまだレイバーだけ見たら現地の方が安いけれど、結局物理的な距離を埋める物流だとか、自由度など総合的なことを考えると、流石に倍近いレイバーコストを継続するメリットも薄れてきます。一つは、日本の商品が薄利多売のコスト重視の製品群から、それなりの品質が要求される高付加価値製品に移ってきているから、バブルの頃ほどじゃ無いけれどある程度国内でお金を掛けても作り込む方向性が回復してきたのも理由としてあると思います。また、今回国内生産に戻す企業の話や記事を見ていると、これまでも別目的で国内生産拠点を維持していて、そこに海外の生産をシフトする形で戻しているので、新規の投資も少なくて済むと言う事もあるんでしょうね。折角海外に準備した拠点を捨てるわけにも行かないし、逆に国内に新規に拠点を準備するコストなんていうのもでないだろうし。

国内回帰してきても、今は国内の労働力不足という事もあるんだそうですね。作業の内容によっては、誰でも良いというわけにも行かないだろうし、以前仕事をしていた人も生活のために別の仕事を始めていたら、なかなかそれを辞めて元の仕事にと言うわけにもいかないだろうし。それでも、国内に仕事が戻ってくると言うのは、まだまだ小さな規模ではあるんだろうけど良い話しです。でも、再び円高になれば企業は外に出ていくだろうし、その時にはさらに安い地域を目指すだろうから、国内の競争はさらに厳しくなることが考えられます。だから、戻ってきたから良かったでは無く、戻ってきた事をチャンスとみて、それを定着させる何か、例えば国内の技術でしか出来ない付加価値の高い製品とか、あるいは国内に製造拠点があるから出来る最短の出荷とか、単に戻ってきたものを作り直すのでは無い何かを考えて実現しないと、もしかすると来年とか再来年には再び空洞化が始まるでしょうね。そう言うことも肝に銘じないと。

0 件のコメント:

コメントを投稿