2014年10月14日

世界観ビジネス

今年大成功したと言っても過言では無い、大井川鐵道の「リアルきかんしゃトーマス号」。こういう、アニメや子供用番組の登場者を現実に作成して運用・ビジネスすることは、決してこれが初めてでは無いけれど、元々の世界観にこれだけぴったりはまったのは、このきかんしゃトーマスが初めてでは? 機関車だけで無く、大井川鐵道の沿線風景も、もともとのきかんしゃトーマスの世界観にマッチしていたと言う事もあって、さらに原作が「アニメ」では無かったことも良かったかも。機関車のオモチャを撮影したものだから、そのまま拡大して1:1のリアルサイズにしてしまえば、本物の蒸気機関車になるわけですからね。でも、このアイデアは本当に秀逸だと思いました。

とは言っても、例えばトランスフォーマーだから車にペインティングしても駄目なわけで、そこには実際に変形するギミックが必要になります。バルキリーだって、飛行機が飛べば良いわけでは無く、やはり変形して陸戦用モードに変わらないと駄目。リアルガンダムが、実際には動作しないけれどあれだけ人気が出たのは、やはりアニメの世界観が忠実に現実に再現されていたからだと思うんですよね。だから、オリジナルでどの様な作品やその中の世界観を選ぶのか難しいし、それをどの様に現実世界に投射するかはさらに難しいと思います。逆に、あまり現実の世界を踏襲せずに、あえて捨てるところは捨ててシンプルにして成功したのが、結構以前に飛んでいた、ANAがB747に鯨のペインティングをしていた「マリンジャンボ」じゃ無いかと思うわけです。実際のサイズとは異なるし、鯨は空を飛ばないけれど、B747の期待のイメージは鯨の大きなイメージに繋がるし、空を飛ぶことと大海原を悠々と泳ぐイメージは似ていますし。

最近では、日本への海外からの観光客誘致2,000万人を目指して、色々と地方でも需要掘り起こしを始めていますが、結局はその地方の持つ文化とか生活などの「世界観」をどれだけ上手く掘り起こして提供出来るかだなと感じます。例えば静岡県なんて「富士山」という世界でも一級品の「素材」があるけれど、決して観光客が多いわけじゃ無いですよね。勿論、麓の箱根とか伊豆とか山梨県側とか、富士山を背景に有名な観光地はあるけれど、静岡県が上手く利用出来ているかというとそれは疑問。あれって、日本一の富士山であっても静岡県民にとっては見慣れたものであるから、どの様に差別化すれば良いか分からないからだと思う。もう一つは、綺麗な独立法という観光資源だけで無く、信仰の対象でもあるというような日本的な世界観を上手く伝えられていないからだと思う。特に一神教の欧米人にとって、八百万の神の日本の信仰って、凄く異質に感じるらしいのだけれど、神対神、信仰対信仰、みたいな話ではなく、神を心のよりどころの頂点にする「世界」と、何事にも平等と公平を前提に構成される「世界」という、二つの世界観の対比と言う形で売り込んだら、結構海外からの人にも受けそうな気がする。物理的なものでは無いから、某CMでは無いけれど「プライスレスな価値」も感じてくれるんだろうし。

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