「美味しんぼ」騒動での火中の一人、福島大准教授・荒木田氏は、自分の発言掲載を断っていたという記事。雑誌なんかのインタビュー記事でも、1時間2時間話をしても、文字として掲載されるのは本当のごくごく一部のみ。しかも、前後の流れは関係無く、その記者のいいように言葉を拾われることも結構あるんですよね。私も業界系の雑誌にインタビューを受けて掲載されたことがあるけれど、結構評判の悪い(ベクトル掛かっている)ところとのインタビューだと、広報担当者が同席するとかいわれたことがあるし、普通は雑誌掲載前に原稿を送ってくれたりするんだけど、某社のインタビュー記事の場合は、客観性を維持するために一切の事前レビュー無し(!)という所もあったし。
で、この准教授への取材は2年前のことなんですね。2年前は震災1年後で、まだ色々混乱していた時期なので、今よりも放射能だとかの影響に対してセンシティブだった時代。そういうときに、否定的な傾向の意見が出るのも仕方が無いのだけれど、あれから2年が経過して、それなりに対策をして除洗も進んでいる「今」この発言を持ってきたら、それはかなりバイアスが掛かった意見と取られても仕方ないでしょうね。ご本人の意見として、今でも同じなのか、あるいは少し別の傾向に進んでいるのかも分からないし。
この漫画自体はフィクションではあるけれど、ノンフィクション的な内容提示をしつつ、しかも実名実在組織名を出して意見(コメント)を書いている以上、それって「これは真実ですよ」と強調していることと同じ。でも、それってごくごく一部のことをそこだけピックアップしているだけだから、その真意と言うか背景までも含めて正しい情報として伝搬するかというと、結局今のように周りにノイズをまき散らしてみんなが迷惑しているだけ。で、原作者にしても出版社にしても、元々の予定通りこの作品は不定期連載みたいな感じで最近は掲載されているので、言うだけ言って黙りを決め込むわけで、言い方は悪いけれど炎上ビジネスと思うとかなり成功したと言えるかも。
もともとは「食の問題」を取り上げる漫画だったわけで、それなら福島や東北のお米や農作物、あるいは水産物がどの様に現状なのか、どの様にして検査して出荷されているのか、どう言う対策が施されていて、どういうことがまだ足りないのか、そう言うことをちゃんと伝えるべきなのに、何故か放射能障害みたいな事を取り上げてしまうっていうのは、何となく原作者の意図的な誘導を感じてしまう。そういう部分に、個人的には嫌悪感みたいなものを感じるわけです。
姑息な方法かもしれないけれど、架空の殉教時を登場させて同じ事を言わせるなら、まだフィクションの物語で福島の現状を憂えるという良いわけもなり立つと思うけれど、実名で話をさせたら、それはその本人の意見・主張としてちゃんと整合性のあるものにしないと。理由は分からないけれど、本人が自分の意見を否定しているような内容を「真実」といって掲載されても、説得力はないですよね。
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