2014年1月5日

目指すは上

先日のライスボウルは、試合内容もさることながら新幹線の事故で関学チームの選手・スタッフが試合に間に合わなかったこともあって、社会人チームと大学生チームとの実力差みたいな話が試合後目立ちました。確かに、ここ最近10年の試合結果を見れば、9勝1敗で社会人チームが学生チームを圧倒しているけれど、ライスボウルが現在のような社会心チャンピオン vs 学生チャンピオンという対戦形式になった1983年度(1984年1月3日)以降の試合結果を見ると、社会人が19勝12敗とリードはしているけれど最近ほどの差は感じられません。さらに言えば、社会人の19勝のうち、6勝はFG差(3点)以内の僅差で勝利しているもの。逆に学生の12勝のうちFG差で学生が勝利しているのは3試合と、近年の成績から社会人有利な状況ではあるけれど、ほぼ互角の内容と言って良いと思うんですよね。

1980年代、学生チームが社会人を圧倒していたのは、フットボールに対する取組が正直なところ学生の方が熱心で、社会人チームは「大学生のOBの集まり」という感じや、当時は殆どが企業チームで切迫感が少なかったことがあると思うんですよね。もう一つ、この頃は日本大学が無敵の強さを見せていた時代だけど、何故か甲子園ボウルでは中々関西のチームに勝てない時代でした。一つは、慣れない関西遠征での試合と言う事もあったと思うけれど、フットボールが盛んな関西のチームが、打倒日大ということで凌ぎを削っていたことも大きかったと思うんですよね。

1990年代は、企業チームがフットボールに積極的に関わってきた時代で、リクルーティングも盛んだったし、強豪の大学チームのシステムを導入したり、日本の社会人フットボールが大きく前進した時代だと思います。経済的にはバブルが弾けて厳しい時期でもあったんだけど、逆にそれが幸いして大学卒業後企業チームや当時盤石のスポンサー支援があったアサヒビール等は就職先としても魅力的でしたからね。この頃は人材収集で著名選手がどれだけ集められるかが、重要だった時代だと思います。

2000年代に入ると、企業チームの撤退が相次ぎ、社会人フットボール自体が大きな岐路に立たされるわけですが、その頃に学生チームが三連覇しているのも何となく納得できます。この頃に社会人チームの合併だったり、廃部・撤退が多くあったと記憶しています。ただ、そう言う厳しい時代を耐えてヘルシーになることが出来たチームが、2000年代中盤から実力を付けてきたとも言える時代じゃ無かったかと。2000年代だけみれば、社会人の6勝4敗ですがFG差の2勝もありますから、この時点でも実力伯仲と言って良いんじゃ無いかと。

で、今年も含めて最近10年の結果を比較すると、2008年の立命館の勝利以外は全て社会人の勝利。しかも9勝のうち5勝はオービック(シーガルズ時代の1勝も含む)が上げています。言ってみれば、大学生と社会人の力差が出来たというよりも、オービックを倒せない社会人の力が不甲斐ないとも言えるんですよね。勿論、オービックはチームとして組織としてシステムとして他チーム以上に努力も工夫もしているから、今の地位があるわけで、それは大いに尊敬の対象。ただ、それを甘んじて受け入れているだけの社会人チームはもっと努力しないと。

ライバルとなる社会人チームが切磋琢磨して、オービックみたいなチームがもっと生まれてくれば、大学生としても目標が出来るし、練習量や人材で柔軟性のある学生チームは、多分色々な工夫を生み出してくると思うんですよね。記事の中では、社会人の外国人選手を制限するとか、「マイナスの標準化」を言っているけれど、それは間違いだと思う。成長とか進歩を望むのであれば、「プラスの標準化」を目指すべき。仮に選手の能力差があると感じるのであれば、社会人野球が他チームからの補強を認めているように、大学OBの参加を認めるとか、やり方は幾らでもあると思うんですよね。目指すは「上」であるべき。でなければ、進歩も成長も生まれないと考えます。

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