2013年10月30日

日本の製造業が目指す道

ITmediaの記事から、Foxconnの技術顧問を努める中川威雄氏のインタビュー記事。自分もグローバルな開発製造の中で仕事をしているので、凄くよく分かるし共感できる話。日本の製造業、特に中小企業の苦境とか、空洞化が言われて久しいけれど、厳しい言い方ではあるけれど「世の中が変わっている限り、自分も変わらないといけない」と言うことを肝に銘じて仕事をしないと、どんどん世の中に取り残されていきます。今でも覚えているけれど、30年近く前、前の会社の入社式で当時の社長が新入社員に贈った言葉の一つに、「20年、30年後も今と同じ仕事をこの会社がしていたら、将来は無いものと思え」という内容の話があったんですよね。入社式に臨んでいる一応期待と希望に溢れている新入社員に言う言葉かと一瞬思ったけれど、5年10年位までなら一つの技術や一つのビジネスでご飯を食べていくことは出来るけれど、必ずそう言う技術やビジネスは衰退する、あるいは別の企業に地位を奪われるということを言っているんですよね。だから、常に自分達の技術やビジネスは磨いていかないといけないし、場合によってはそれらを捨ててでも新しいエリアに進まないといけない。日本古来の花札の会社だった任天堂が、まさか最先端のコンピューターゲームで一時代を築くなんて、20年、30年前には誰も想像しなかったでしょう。

「ガイアの夜明け」で時々やるんだけど、日本の中小企業や下請け企業の中で、なんとか生き残りのために自社の技術を生かして新しい製品やビジネスに打って出る話。ああ言うことをもっと真剣に、出来れば全国的な規模で協力しながら進めないと、今の時代は昔のように言われた部品や製品を作っているだけじゃ、もう新興国に太刀打ち出来ないですよね。特に加工品みたいなものは、日本よりも安い労働力を使った人海戦術には中々太刀打ちできないし、第一「安い労働力」のシンボルだった中国ですら、技術力はアップしてきていて昔の日本程度のレベルに追いついているところも多くある時代ですから。

正直なところ、淘汰される企業や人材も多くでると思う。それもある程度の規模の企業やそれなりの技術を持った組織であっても。ただ、そうやって淘汰されて残ったチームが新しいものを生み出す努力をするし、そこから弾かれたチームであっても別の技術を生み出す努力をしないと、生き残れないのが今の時代なんですから。そう言う意味で、このインタビュー記事の内容って凄く当たり前でまっとうな内容なんだけど、どれだけ今の日本の製造業とか開発企業の中で実践・実行出来るかというと大変でしょうね。でも、実際にそれを実行して成功している企業も沢山あるわけですから、周りのせいにして何もやらない理由にしてはいけませんよね。自戒の意味も込めて。

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