2012年8月7日

低価格化の弊害

物作りに関わっていると、以前なら「高品質」とか「多機能」とかいうことが最優先事項でしたが、最近ではまず「コスト」。勿論、良いものを安く作るというのは、製造に関わる人間なら誰でも思っていることだけれど、ここ数日「でも、やっぱり限度はあるだろう」という経験をしました。

母親が、洋服とかシャツを室内で掛けておくハンガーラックが欲しいというので、近所の量販店にいってみたんですが、単純に横棒だけのものだと770円。その横棒部分から、さらに横に棒が伸びて、丈の長いワンピースとかコートも掛けられようなものが990円というお値段。その990円の物を買ってきて組み立ててみたんですが、

  • 金属パイプが中心ですけど、強度的にはぎりぎりという感じの肉厚と素材。珍しく、切り口のあるパイプの両端が少し面取りしてあったので、製造国を見たら「Made in Taiwan」でした。
    => 以前だと、どの様に切り口に触れても怪我をしないようにめく取りしてあったり、カバーがついていたものですけど、最近は特に中国製だと、外に出ない部分は切りっぱなしなんて言うことがほとんど。また金属パイプも、強度的に使用範囲ぎりぎりという感じで、場合によっては「大丈夫か」と心配になることも。
  • この金属パイプとプラスチックの接続部分を組み合わせてラックを作るんですが、金具の位置によっては向きを正面に合わせたり、水平にしたりしないといけないんですが、その位置決めが難しい。目印も何も無いので、組み上げていく途中で結構歪みが出そう。
    => 以前だと、位置合わせのくぼみがあったり、目印が印刷されていたり、あるいは位置合わせの道具みたいなものが同梱されていたりしましたが、最近はそんなことは無くなりましたね。あと、どのパーツが説明書のどれか分かるように、以前はパーツに番号や記号が印刷されていたり、刻印されていたものですが、最近はそんなもの見たこと無いし... 慣れていない人がこるんじゃ無いかと思うんですが。
  • 最近のものはみんなそうだけど、接続部分のプラスチック部品が少しきつめに作ってあって、そこに押し込んで固定する方法なんですよね。だから、一回目は良いんだけど、やり直そうと抜き差ししていると、その部分が緩くなってしまって使えなくなってしまう。
    => 以前だと、固定するときにはネジ止めであったり、パイプや接続器具がねじ込み式になっていたり、確かめながらやり直しも出来るような構造でしたけれど、最近ではそう言うものは殆ど観なくなりました。あと、プラスチック部分で、レバーを使って力を掛けてパイプが動かないように固定する部分があるんですが、それを使ってパイプを固定したら、レバーでおされたパイプ部分が凹んでしまった。垂直部分の長さ調節も可能で、その部分場ネジが内部に出てパイプを固定するんですが、それも外から力で押さえるだけなので、パイプが変形してしまい、多分同じ場所では二度と使えないんじゃ無いかな。昔なら、一定間隔で穴が空いていて、そこにネジが入って固定するようなデザインが多かったと思うんですが、そう言う手間も省いていますという雰囲気。
結局組み上げ見て分かったんですが、このパイプラック、高さや左右に伸びるハンガー部分が自由に調節出来るという説明だったけれど、一度固定してしまうと、その部分のパイプが押されて凹んでしまうので、多分何度も使うことは難しそう。一度組み上げて高さや長さを調節したら、実質その形状で使うしか無いよなと、組み上げてから思いましたね。まぁ、1000円以下で買えるものにそんなケチを付けるなよと言われるかもしれないけれど、例えば価格を二倍にしたら、上に書いた自分の不満点のどれくらいが改善されるだろうと思うんですよね。少なくとも位置決め部分は、もう少しちゃんと固定出来るようにして欲しいし、それくらいの機能デザインがあるんなら、2000円位でも買いますけどね。困るのは、そう言う何段階かレベル毎に商品って作られないんですよね。特にこういう低価格商品は、一番売れ筋だろうという部分のものを大量に作ってコストダウンして販売するから、「もうちょっとここが」というものが無い。探すのも面倒で、結局妥協して購入してしまうんですが、それって消費者の満足度として良いことなんだろうか、疑問に感じます。

世の中不況で、デフレで、どんどん価格が下がっていくけれど、価格を下げることが目的になってしまい、本当に必要な部分に手を掛けるとか、本当に必要な部分を残すためにあえて必要なコストを費やすみたいなことが無くなっていき、確かに安いけれど... という商品が多くなったような気がしますね。それって、本当に良いことなのか、個人的には凄く疑問ですね。

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