毎度、金曜日はPCWatch山田祥平氏のコラムから、スクリーンの解像度についての話。iPad2に比べて解像度が4倍(縦横2倍)になった新iPadでは、「device-independent pixel(dip)」という考え方を用いて、2048×1536ドット/264dpiの解像度を1024×768ドット/132dpiに「仮想化」して表示することで、前機種との表示機能の差分を吸収しているという話。つまり表示する1ドット(=1dip)に対して、画面上のnドットを定義することで、以前のアプリケーションの互換性を維持しつつ、表示上もユーザーに違和感を持たせない考え方で、この「1dip=nドット」の"n"を「密度(Density)と呼ぶらしい。
「なるほど」感心はしたんだけど、すぐに疑問が沸いてきて、今回はたまたま縦横2倍だから1dip=1ドットから、1dip=2ドットと綺麗に変換出来たけれど、解像度が整数倍でない場合にはどうするんだろうか。n=1.3とか1.7とかも、理論上はあり得るけれど、実際に表示される画面は、多分ディザリングをしないと対応出来ないわけで、表示品質は下がるだろうな。
もう一つの疑問は、1024×768ドット/132dpiを基準にしているということ。トップ画面などのI/F部分だけ基準を守っても、例えばマップとか表示する時には、フル解像度で表示されるわけだから、その部分のアプリの作り込みがちゃんと高解像度に対応していないと表示はおかしくなるはず。例えばアイコンのサイズは、トップ画面とアプリの中では4倍の違い(1/4に小さくなる)が生まれるわけで、そう言う部分はどうやって吸収するのか。仮に、例えばツールバーの部分だけは大きくしているにしても、それってWindowsで「大きなアイコン」を使うときのちぐはぐさと同じで、肝心の作業領域を圧迫するだけの邪魔者にしかならない気がする。
さらに言えば、仮に将来今の9.7インチサイズのiPadとディスプレーサイズが異なるiPadやTabletが登場した場合、Appleは解像度(1024×768)を優先するのか、dpi(132dpi)を柚須線するのか、どっちだろうか。iPhone4Sでは、960×640ピクセル/326ppiとiPadよりも表示密度は高いけれど、解像度は小さくなっているわけで、この差分は結局は「デバイスの違い」としてユーザー側が何となく自然に補正しているような気がします。
山田氏も書かれているように、今はいろいろな解像度・サイズのデバイスが氾濫していて、しかもOS環境によって解像度や表示仕様も異なるわけで、どれが正解・どれが優位という話はあまりないと思います。とは言っても、昔からグラフィック系PCとして表示にはこだわりがあったApple/Mac系に一日の長があるのは言うまでもないけれど。自分などが思うのは、手元にある物理デバイスの表示装置に縛られているうちは、多分このジレンマは無くならないでしょうね。なんて言うのか、データの仮想化をするように、表示装置も仮想化されて、その都度利用する物理デバイスに最適化された仕様・内容で表示されれば、ユーザーとしてはそれでOKじゃないだろうか。重要なのは、「同じ画面を表示すること」ではなく「違和感なく使える画面を表示すること」なんだから。
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