漫画家の江口寿史氏が、色々な広告媒体などに提供していた「イラスト」が、既存の写真素材をトレーシングして作成していた、所謂「トレパク」という事で騒動に。いかにもネット時代棚感じるのは、この騒動の発端となったのが、江口氏の作品がネットで流れてきたのを、その素材となったご本人が見つけて、それで問合せをして発覚したということらしい。更に、ネット時代なので江口氏の過去作品の検証作業が勝手に始まり、次々とベースとなった写真素材とそれをトレーシングしたと思われるイラストの一覧表まで作成されているらしい。
江口寿史氏と言えば、その独特の画風というか、所謂「美人画」で有名な作者さんだと思うですよね。独特の線の使い方と、デフォルメしすぎないデフォルメというのか、それ故にイラストの美人画に結構現実感を感じたりしましたが、それも基本となるのが実際の人物を撮影した写真だからだったのかな。彼は漫画家として色々な作品を書いていたけれど、やはり構図とか服装も含めたスタイルとか、そういう部分で息詰まりつい実際の商業誌の写真とかを参考にしてしまい、それが通常になってしまったのかなぁ。自分の場合、こう言う「イラスト」の世界で言えば、この江口寿史氏と鈴木英人氏が二大巨頭で、それぞれ独特の作風というか画風が魅力的でした。
例えば、自分でモデルさんとかを撮影した写真でトレーシングする事は問題無い(そのモデルさんの許諾は得るとして)と思うけれど、商業誌に掲載された写真だとか、プライベートなモノでもご本人の許諾なしでの使用は駄目なことは明白。Instragram何かには、大量に写真が登録されているから、そこからランダムに抽出していれば、このネット時代でももしかしたら発覚しなかったもしれませんね。ただ、多分江口寿史氏の画力がありすぎるから、イラストになってもベースの写真の雰囲気だったり表情が残ってしまい、それが特定に繋がりやすいのかもしれない。
「真似る」ということは、その分野の仕事を始めた初期の頃には、多分どんな分野でも最初にやることじゃ無いだろうか。例えば料理人ならレシピ通りに作り始めるだろうし、漫画家なんかでも好きな作家さんのマネをするところから始まるだろうし。ソフト開発だって、最初は既存ソースコードを真似るというか読み込んで内容を理解するところから始まるわけで、ベースゼロの段階から、次の「1」のステップに上がることは中々難しい。そんな時に、既存の作品や情報を模倣することで、0→1という見えない大きな壁を越えることで、以降は勢いが付いてスルスルと次のステップに進むことが出来るようになることも事実。問題は、その「次移行」も、模倣し続けのか、ある所から自分らしさを見つけて発揮していくのか、その辺りが難しいところ。AIによる模倣という創作と、人間による創作という模倣、複雑な時代だなぁ。
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