2025年8月9日

DOUかMOU位は...

米国の関税政策に対して、日本側としては何とか最大15%上限で押さえたと思ったら、日本は「+15%です」みたいな発表がされて、赤沢亮正経済再生担当相が再びWashington D.C.へと飛ぶことに。一日後なら、最後のR2-D2塗装機に搭乗できたかもしれないのに、残念ですね(マテ)。 

日本側が発表した関税合意内容とは大きく異なる米国側の対応に、野党からは政府に対しての批判の声も大きいけれど、今の所米国側の手続き上のミスで、現在では本来の「最大で15%」に修正されているようです。また、日本以外の合意国とも同様の齟齬が多々あるようで、米国側の実務者不足が原因とも言われているけれど、それもトランプさんが大胆に人員カットしたのが原因とも。

時間が掛かりその間に現在の高い関税が続くことを回避するために、大統領令の発出を優先して合意文書の作成はしないという話は、それなりに理由が有る話だとは思うけれど、やはりこういう行き違いが生まれたときに「いゃ、あの時こういう合意をしたでしょ」という証拠を出せれば一発で終わる話だと思うんですよね。自分の仕事の範囲で言えば、こういう時に「DOU (Document of Understanding)」とか「MOU (Memo of Understanding)」という物を作成して、その内容を相互に確認して了解するというのが一般的な方法。決定項目も含まれることもあるけれど、所謂両者の妥協点とか、合意内容、それぞれの言い分、例外などの、言ってみれば会議の議事録の要約版みたいなものを作って、それを根拠に次のステップへと進むわけです。DOU/MOUには、確約したものでは無いし拘束力は無いけれど、限り無く尊重されるべき紳士協定みたいな感じと言えば、当たらずといえども遠からずでしょうか。一般的な会議の場合は「議事録(Summary)」を作って終わりですが、有る程度責任が発生するような場合や重要な会議の時、あるいは将来的に何らかの契約や承認が必要になるような場合には、こういうDOU/MOU (MOUよりDOUの方がより重い)を作成して交換したものです。

国際的な交渉、あるいは政治的な交渉は、そういう一部ビジネス交渉とは内容も重さも違うのだろうけど、やはり互いの理解よりは「書き物(Written Document)」に某かの合意事項を明記するという事は必要だと思います。それをどこまで公開するかはまた別の話だけれど、少なくとも互いの理解レベルを証明するものではあるわけですし、明らかに相手の対応がそこから逸脱しているのであれば、それを根拠に相手に対して修正や是正を要求することも出来るわけですからね。互いにその内容に対して「合意/確約(Commit)」する前段階の確認として、やはり今回の様な事があったなら今からでも作成するべきでは無いだろうか。少なくとも交渉の実務担当の外務省とか経産省(?)とかでは、それぞれの米国側の担当者と摺り合わせしたものを残すべきだと思うなぁ。これを「交渉の失敗」みたいな言い方をするのは個人的には疑問だけれど、相手がトリックスターのトランプ大統領だけに、こちらとしては二重三重の担保措置というか、安全対策はして置くべきだと思う。

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