2024年8月14日

転売対策

やっと対策に乗り出す、訪日観光客向けの免税制度の見直し。今の仕組みでは、国内の免税店で購入時に、すでに消費税が適用されていない価格での支払で品物が購入出来るので、それをそのまま国内の業者へ転配して利鞘を稼ぐことが簡単にできます。それを、Singaporeとかでやっているように、出国時に購入証明書と実際の品物を突き合わせて、正しく申請されていればその分の税金を還付するというもの。 

しかし酷いですよね。記事によれば、サンプリング調査した1億円以上購入した57人のうち、免税品の確認ができたのは一人だけで、さらに残り56人のうち55人が納税せずに出国して本来徴税されるべき18.5億円が未納のままと言う話。55/57が抜け道を利用しているなんて、「ざる」どころの抜け穴どころか単なる「輪っか」に物を入れているような物。しかも、18.5億円が未納と言う事は、55人の購入総額はその10倍、185億円位と推測できるから、一人当たり3.4億円も購入している計算になります。幾ら「爆買い」とか言っていても、何を買っているのか。コロナ禍とか有って、途中の被害はまだ大きくなかったのかもしれないけれど、こんなの最初の制度設計が間違っていると思うなぁ。

多分元々の考えは、出国時の税関申告の手間(訪日客、税関職員双方)や、安い価格にすることで国内での購買意欲を増加させて、お店側にも利益があるようにするという「親心」みたいな物だったと想像します。でも、それって訪日客が出国時にちゃんと購入した物の申告をしてくれるというのが大前提な訳で、よほど大量に購入したものとかならまだしも、スーツケースとかに入るようなコンパクトなでも高級なものなら殆どそのままパススルーされて出国して行ったんじゃ無いだろうか。私はよく、「海外は性悪説前提だから」と言うけれど、この件に関しては性悪説以前に、仕組みとしておかしいと思う。どうしても事前に消費税分を差し引いた金額で処理したいのであれば、

  1. 購入時にパスポートナンバーと購入金額を紐付けて、パスポートナンバーをキーにして必要な税金額を記録
  2. 出国時に税関申告で必要な手続きをして還付を受けたら、そのパスポートナンバーの購入記録を削除して出国
  3. 出国時にそのパスポートナンバーの購入履歴が残ったままなら、清算処理をさせる。場合によっては、追徴金も課す
みたいな仕組みって出来ないだろうか。書類ベースで空港などのVAT窓口で処理するとなると、凄く大変だと思うけどなぁ。Singaporeだと、空港にVAT窓口があって清算処理出来るけれど、いつ行っても大きな荷物を抱えた人が列を作っていて、待ち時間だけでかなり掛かりそうなので、私は一度も利用したことが無いのですが、日本で同じような状況になったら大変だろうなぁ。

現行制度は、消費税分を除いた金額で物品を購入できるという世界でも珍しい仕組み。

記事では書いているけれど、それだけ「お人好し」とも言えると思うんですよね。世界でそういう仕組みをやっていないという事は、やはりこういう問題があるからだからで、今回痛い目を体験したからまともなシステムになるのかな。例えば、上で書いた登録システムって、スマホがあればスマホのアプリとして、内蔵カメラでパスポートのバーコード部分を撮影して、レシートの総額と税額が記載されている部分も撮影して、それを税関のサーバーへ転送すると、サーバー側で画像認識して必要な情報に加工をして蓄積していき、最終的に出国時のパスポート確認まで繋げることは、そんなに難しいシステムでは無いと思うのだけれど。出国時に購入品目が確認出来て、消費税の払い戻しが確認出来たら、今度は振込用のクレジットカード番号とその金額を清算処理システムに投げるようにして、それを受けてパスポートから「消費税未決済」のフラグを削除すれば、全体として効率良く自動化しつつ必要な徴税も出来ると思うのだけれど。まぁ、これを機会に日本も「普通の国」になれるかな。 

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