2024年1月16日

政治家の皮を被ったキャスター

このポストを見て感じたのは、あぁこの人は被災地を「政治家」としての視点では無く前職の「キャスター」としての視線で見ているんだろうなぁ、という事。確かに、コンクリート製で本来ならば地震にも耐えているだろうと思われるビルディングが、横倒しになっている衝撃的な映像ではあるけれど、このビルの光景は震災発生直後から放送されていて、しかもこのビルのオーナーの方が家族が中にいて、悲痛な状況のインタビューも放送されていたはず。そんな状況を知ってか知らずか、わざわざこのタイミングで公に公開する必要性は一体どういう理由からなんだろうか。 

震災直後に比べれば減ってきているけれど、それでも毎日朝から晩まで被災地の様子がメディアで伝えられています。特にテレビのニュースやワイドショーでも、現地からの放送は増えていて、それは当初道路や通信が寸断されていて思うように中継やレポート出来なかった反動なのか、それら環境が有る程度整備されると我先にという感じで悲惨な様子の放送やインタビューが何度も放送されています。個人的に思うんですが、東日本大震災の映像で津波の場面が含まれる場合、事前に「この後津波の映像が流れます。ご注意くださいる」みたいなテロップが今でも必ず入ります。今回の能登半島地震の場合は、こういう被災地の様子がまさに「津波の映像」に匹敵するものだと思うんですよね。それを何の断りも無く、いきなり多数の人に向けて公開するというのは、メディアでも慎重になるべきだし、個人であっても同様。ましてや、大きな責任を負っているはずの国会議員であれば、尚更慎重に扱うべき内容だと思うのに、何か他人事のような感じでこうやって公開している。

この方のTLを見ても、同様に被災現場の写真と一言コメントの投稿が続いているんですが、どうしてもその口調がレポーターのセリフにしか見えない。例えば、通行止めが多い復旧作業が遅いと政府批判も含めて書き込むのであれば、〇〇を優先して機材投入して先ずは幹線道路を通すとか、GPS等を利用した自動車の通行履歴データを示して××の対応が進まないので政府に要求しますとか、国会議員だから出来る事、国会議員にしか出来ない事が有るはずで、それを訴求するのかこの人達の仕事のはず。でも、少なくともこの方ののと被災地訪問の投稿を見ると「〇〇はこんな具合に被災しています」というような内容ばかりで、それはメディアだって散々放送している内容と殆ど変わらない。TBSのキャスター時代であれば、それが仕事だからより視聴者の関心を買うような内容を報じることが大切なんだろうけど、今はそうじゃ無い。そう言う事に気がつかずに、何にしてもキャスター気分が抜けないまま何年も国会議員という仕事をしているのって、やはり何か違う気がする。

地元選出議員や被災地が選挙区の議員が現地に入るのは、まぁまだ理解出来る。また、首相や各政党党首・代表が被災地に入って現状理解するのも、時期にも寄るけれどこれも理解出来ないことはない。でも、そうで無い議員がわざわざ被災地に入ってその様子をまとめるわけでも無く、提言をするでも無く、単に観たまま聞いたままを公開することにどれだけの意味があるのだろうか。地元選出の議員が地元に戻った時、どこそこの地区に行った、どこそこで話を聞いた、と言う事だけ言う議員と、地元に戻り「〇〇の提言を聞いたので××を次の国会で提案する」というような事を言う議員、どちらが望ましいかは言うまでも無い話。議員では無くキャスター見たいとここでは批判しているけれど、その経験と素質を上手く利用すればより発信力のある議員になれる可能性もあると言う事でも有るんですよね。ただ、幾ら言葉が巧みであっても、中身が無ければ国民はついてこない。テレビのキャスターの場合は、その内容の善悪・正誤都は関係無く「面白ければ、受ければ」良い経験をしているから、その感覚が今でも抜けないんだろうなぁ。こういう人も岸田総理が指摘して「影響の大きいアカウント」の一つなんでしょうね。

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