2023年12月14日

原典はどちら

 マイナンバーとひも付けの保険証情報 台帳と不一致 約139万件

という見出しを見て、多分多くの人が「ほら、マイナンバーカード信用できない」と短絡的に思うんじゃ無いだろうか。よくよく読めば、マイナンバーと紐付けられた全ての健康保険証の情報を照合して、不一致が約139万件あったという話。その中で、別人と紐付けられていたエラーは450件程度と言う事で、この二つを混同してはいけないでしょうね。

二つの情報を比較して違いが有る場合、どちらか一方の情報が間違っているか、両方の情報が間違っているケースが考えられます。ただ今回の場合は、マイナンバーは役所に届けられている「原典」なわけだから、こちらの情報が正しいと想定しないと以降の話が進まない。それに対して健康保険証は、役所に届けられている情報をもとに申請されて作成されたものだから、そこに何らかのエラーが入る可能性はあるわけで、実際約139万件のエラーは住民基本台帳と健康保険証記載の氏名や生年月日や性別が一致しないケースなのだから、これは健康保険証側の情報が間違っていたケース。

開発の仕事をしている一人としては、これは情報の総合的な付き合わせで総ざらいしている訳なので、本当はやらなきゃいけない事なんだけれど普通は時間も人手もコストもかかるから、精々サンプリングとかでお茶を濁すことが多いんですよね。それでも、異様にエラーレートが高かったりすると、慌ててサンプリング範囲を広げて、それでさらに酷い結果が見つかって慌てるというのは、時々有る話。本当ならば、マイナンバーが先ず最初にあって、そこから健康保険証とか運転免許証とか派生証明書が作られたならば、それはマイナンバーの情報と必ず一致しないといけないし、そうで無いケースが多発したら大きな問題。でも、マイナンバーは後発な訳で、其れ以前に色々な証明書が発行されていて、それを原典であるマイナンバーと今回照会してみたら不一致が多発しているわけですから、これまでの証明書がいかに不確かな物だったという事が一番の問題点ですよね。そこが問題点なのに、何で「だからマイナンバー反対」みたいな方向に流れていくのか良く分からない。

実はそのマイナンバーにしても、更に精査してみたら最初の登録時に間違った情報が申請されている可能性もあるわけです。だって、例えば出生したらそこに役人が言ってその場で登録するわけでは無く、両親が役所に届け出るわけですからね。結婚するときもそうだし、死去したときもそう。全て本人あるいは依託人が申請して、大元であるデータベースの内容が更新されていくわけだから、じつはここにも誤情報が登録されている可能性は大いにある。でも、いったん本家に登録されたら、それが正しい情報になってしまうわけで、そこは将来的な課題かも。そう言う事を考えると、例えば海外から帰化した場合とか、新規にデータを作成した場合には無意識・意識的かかわらず情報が間違う可能性は有りそうなので、そこの対策も必要だろうなぁ。さらに言えば、現在登録されている情報は生年月日とか住所とか氏名とかだけなので、本当は生体情報も登録して本人と一致しているかという確認も将来的には必要だと思う。そうなると、多分DNAの情報とか登録しないと、指紋とか顔認証程度では成りすましも可能だろうし。まだまだ完全とは言えないマイナンバーだけれど、ワンストップでのサービスが増えて行くことは確実だろうし、その利便性をもっと増やしてほしいですね。 

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