YouTubeのお気に入りチャンネルの一つ、「賛否両論」店主笠原将弘氏の「 【賛否両論】笠原将弘の料理の細道」から、故陳建一氏直伝の「麻婆豆腐」の回。挽肉をよく炒めるというのは、例えばミートソースを作る場合でも、必ず焼き目を付けてから崩すとか、料理の種類は違っても有名な調理人の人は共通して言っている気がする。それと、今回の調理の肝である「豆腐を事前に湯がいておく」というのも、豆腐料理の裏技じゃないけれど、これも以前聞いた話で、例えば冷や奴でも一度お出しで軽く火を通して、それを冷やして使用するとか、揚げ出し豆腐を作る時も、ちょっと湯がいてから使用するとか、水切りしたような感じになるという話も。昔アメリカ出張が続いた時に、当時はパック入りのお豆腐なんて無くて、探して見つかるのは充填式の長期保存用の豆腐パックしか無い。煮物に入れたりする分には、何とかごまかせるんですが、湯豆腐は兎も角冷や奴が食べたいとか言う我が儘な先輩とかいて、その時にはマギーブイヨンの野菜スープを少し薄めに作って、そこにこの充填式豆腐を入れて少し湯がいて、それを冷やして冷や奴風にして食べたなぁ。豆腐の豆の味を楽しむなんて言うことは無理だけれど、豆腐の旨味みたいな物は残っているので、結構好評でした。
で、最後に麻婆豆腐を食べながら、スタッフの矢部さんとのクロージング漫談に移るんですが、ここで賄いの話になったのが、個人的には今回一番重要なところで、まずは基本に忠実に技術を身につけてその料理を完璧に作れるようになってから、初めて自分なりのアレンジをするべきなのに、最初からアレンジしようとするから「無国籍料理」ならぬ「無責任料理」になっているという一言は至言だと思う。歌舞伎の世界の「型破り」も、無茶苦茶なことをやるのが「型破り」なのでは無く、その型を極めた後に新しい物を作るのが「型破り」なんだという話は、自分にとってはいつも教訓としている言葉の一つ。
笠原氏、最初メディアに見た時にはちょっと軽薄な感じが自分的には苦手で、かつ店名が「賛否両論」という、いかにも狙っているみたいな店名なのも「目立ちたがり屋さんなのかなぁ」とちょっと否定的な印象を勝手に受けていたんですが、その後もメディアに登場して調理している様子なんかを見ていると、「あれ、結構ちゃんとしている?」と失礼ながらも認識が180度変わった人。YouTube開設した早い時期から見ていてチャンネル登録もしているんですが、ちゃんと調理の基本は押さえているし、視聴者向けに家庭でも出来る・調理しやすいという所も考えていて、結構凄いんじゃ無いと言う理解に変わってきました。土井善晴先生と並ぶくらい(笑)、自分の中では参考にしている料理人さんの一人になりました。
本格的な料理も美味しいだろうし、勿論機会やお金があれば食べてみたいけれど、一日3食365日にさらに人生80年90年の間の食事が、毎回そんな高級料理であるわけが無い。その3×365×80=87,600回の食事のうち、極々一部はそう言う機会にも遭遇するだろうけど、その殆どは普通のご飯に味噌汁にちょっとしたおかずにお漬物くらいの「普通の食事」。その「普通の食事」が「普通の食事」と太字くらいに少し豊かになるのが、この笠原氏とか土井氏とかが教えてくれる料理じゃ無いかと思っていつも視聴しています。そういう料理って、自分で作れば尚更だけれど、調理するところを見るだけでも、手際とか素材の扱い方とか、そう言うものが凄くスッと頭の中に入って気持ちが良くなる気がする。自分も多少は自炊とか料理好きだから尚更かもしれないけれど。それと、アメリカ出張が続いていた時には、向こうでアパートに済んでいたから、限られた材料や調味料に限られた調理器具の中で、何とか和食とか日本料理みたいなものを作ろうと苦労して、それが週末の楽しみみたいなものにもなっていたからかもしれない。ちょっと昔を懐かしく思いだした動画でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿