中部電力が、米国の小型モジュール炉(SMR (Small Modular Reactor))開発企業のNuScale Powerへ出資するというアナウンス。原子力発電所を有する国内の電力会社の一つである中部電力は、唯一の原子力発電所の浜岡原発が東日本大震災時の政府要請で運転停止して以来、まだ再開していない状態。かなりのお金を掛けて防潮堤工事など進めていて、予想される東南海地震対策も進んでいるけれど、地元自治体の了解などを得るのは厳しい様に見られていて、発電再開時期は全く分からない状態。
原子力発電にも、メリット・デメリット、色々あると思うんですが、大出力が可能なゆえに施設が大規模になり、それ故に建設まで時間も掛かるしその後の運用にも色々制限が多くなるのが問題の一つかなと思います。また、東日本大震災では、福島周辺の三つの原発が停止し、その後全国の原発停止にも繋がったわけですが、規模が大きすぎるが故に一旦停止した場合の影響が大きいことも問題かなと思います。分散させることで、建設の制限やリスクを減らして、さらに万一運転が止まった場合のリスクも低減できる一つのアイデアが、このSMRじゃないかと個人的には強く感じます。
中部電力の営業区域を見ると、愛知県を中心に三重県、岐阜県、長野県、そして静岡県の大井川以西がその範囲。例えば、東京電力が福島県や新潟県に発電設備を設置しているように、中部電力も福井県とかに原子力発電設備を設置する事も可能だろうけど、それはなかなか大変だろうし、今の浜岡原子力発電所以外の設備を作ることはかなり難しいでしょうね。SMRと言いつつもその規模や性能にも寄るけれど、岐阜県とか長野県などの山間部にも設置する事は可能だろうし、特に長野県は精密機器製造が産業として大きいだろうから、安定して安価な電力供給があればかなり産業基盤として有利に成るんじゃ無いだろうか。
中部電力の浜岡原子力発電所には、1号機から5号機の5つの発電所が有り、1号機と2号機はすでに運転終了している状態。1号機2号機の廃炉作業が進んでいるけれど、廃炉完了予定は2036年度とまだまだ先。ただ時期的には、今回のSMRが実用化されて、アメリカ等でそれなりの実績を積んだ時期に設置できるタイミングでもあるだろうから、ここに入れ替えて設置していくのは良いのではと個人的には思うところ。本来ならば、津波被害が想定されない、もっと内陸部の方が良いとは思うけれど、地盤だったり防潮堤だったり既存の対策設備が活用出来る事はメリットに成るんじゃ無いだろうか。批判も多い原子力発電だけれど、日本にとっては低コストで重要な電力供給できる重要な設備だと思うんですよね。トヨタ自動車が裾野市に開発をしている「ウーブンシティ」は、「電気中心都市」にも成るんじゃ無いかと思います。中部電力管内では無いのだけれど、SMRのような小型だけれど高出力で安定した電力供給技術がこういう都市に、そして将来的には人口減少もあって地方などで分散化していく都市に必要な社会基盤になるような気がします。
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