2023年8月25日

全面禁輸

福島第一原発でのALPS処理水海洋放出に抗議をして、中国は日本からの海産物を全面禁輸措置にすることに。 これまでも、福島県を含む10都県からの輸入禁止措置を取っていたけれど、それを日本全国に拡大する事に。このことを伝える時事通信の記事には、これまでと今回の禁輸内容の比較表があって、そこには中国本土と香港の例が記載されているんですが、香港の措置は一段階緩やかと言うか、中国本土に足並みを揃えては居ないんですね。以前の段階でも、中国は10都県を対象にしていたのに、香港は福島だけだし、対象品目も違う。不思議な事に、福島からの対象品目に「水産物」が含まれていなかったのは何故? 

今回の禁輸措置は、これまでの措置に対して「追加」という扱いなんでしょうね。だから、水産物は全国的に禁輸だけれど、それ以外の食料品等は1都県が対象なので、例えば大阪からなら輸入出来るのか。香港の場合、東北地域では福島県と宮城県が対象だけれど、となれば青森、秋田、山形、岩手といった地域からの海産物は許されるのが不思議。この辺りの地域からは、フカヒレとかナマコとか、アワビとか、中華料理の食材として欠かせないものも多いから、香港からすると止まると困ると言う事情もあるのかもしれない。

昨晩の報道やニュースを見聞きしていると、全面禁輸という厳しい措置を中国が取るとは予想していなかったと盛んに伝えているけれど、いゃいゃ、これまで中国の行動を見ていたら当然想像出来るでしょう。少し前のレアメタルの時だってそうだし、その前の尖閣諸島問題の時にも中国本土では大規模な日本製品不買運動が起こっていたわけだし、何かあればそうやって「力」で解決してくる国だという事は何度も経験しているはず。直前にも、禁輸措置では無かったけれど、通関手続きを伸ばすという実質的な「禁輸措置」をしていたわけで、多分大方の想像はその「実質的禁輸措置」を「禁輸措置」にする位かなぁだったんじゃないでしょうか。それが、全ての水産物を日本全国に拡大するというかなり思い切った措置は、それだけ中国として面子の問題も有るのかもしれない。つまり、「福島の放射脳」という部分だけで無く、北朝鮮やウクライナを巡る日本の対応なども含めて、これ以上しゃしゃり出るなという意思表示なのかも。

一方で中国にとっても、急拡大していた経済成長に陰りが見え始め、不動産大手の中国恒大がアメリカでChapter 11申請する等、ここの所悪いニュースが続いています。長い間禁止されていた日本への団体旅行解禁も、国内の不満解消目的が大きいとも言われていて、早速その第一便も到着したみたいですが、これからどうするんだろうか。再び渡航禁止にすれば国内の不満も膨らむだろうし、これ以上解禁すると禁輸措置との整合性も取れない。更に中国国内では、日本産海産物への措置が拡大解釈されて、国内の海産物や塩不足減少が発生していて少なからず国内混乱への影響も出て居るみたい。言い方は悪いけれど「自業自得」の面もあるけれど、暫くはこの状態は続くでしょうね。日本から見れば、最大の貿易国である中国だけれど、これまでの経験含めてやはり「China Risk」をもっと深刻に考える時じゃ無いだろうか。素材輸入とか、どうしても中国に依存せざるを得ない部分もあるので悩ましいのだけれど、日本からしか入手出来ないものも有るだろうから、そう言うものをどれだけ増やしていけるかを真剣に考える必要があるかも。そう言う意味でも、毅然とした対応こそが唯一の解決策かも。

0 件のコメント:

コメントを投稿