2023年6月28日

確信的風評加害者

福島第一原発での処理水海洋放出の工事が完了して、いよいよ長年の課題だった処理水の削減もやっと始まりそうな状況。2011年の東日本大震災時の福島第一原発の事故以来、もう12年も過ぎてやっとここまで来たことの理由・原因は色々あると思うけれど、今でも続く風評加害の影響がやっぱり一番大きいと思います。

現在においても、処理水を意図的に「汚染水」と呼び続ける一部政党やグループは、本当にそう信じ込んでいる人も多少は居るのだろうけど、何としても世間の注意を引きつけたいが故に、あえてそう言う態度を難くなまでに続けているだけのように感じます。汚染された処理水は、ALPSで何重にも濾過処理されて、技術的に分離可能な核種は取り除かれて、それはIAEA等の検証でも確認されているところ。唯一現在の技術では取り除けないトリチウムは残留するものの、放出前に規制値の何十分の一の濃度に希釈してから放出するもので、それは現在の原子力発電所で放出されている冷却数のレベルと比較してもさらに低いもの。それなのに「トリチウムの影響が」と言いつのることで、自分達の正統性を主張することを止めないのだけれど、それ以上のトリチウムを放出している韓国や中国、海外の原子力発電に関しては何も言わない矛盾。

以前は私も、彼らの言う所の「メルトダウンした燃料に直接触れた汚染水と、そうで無い冷却水とは、同じ処理をしても異なる結果になる」というような主張は、一理あるかなと感じたこともありました。でも、その後色々考えてみると、

  1. その二つの対象水を比べた時、そこに含まれる核種が何でどれだけ合ってという検査をする場合、どちらも同じ規準で検証して比較するだろう
  2. その場合、現在認識されているもので検査方法が確率されているものは分かるけれど、そうで無いものは知りようが無い
  3. 過去、何十年も原子力に関しては様々な研究が行われており、今の所未知の要素「X」みたいなものは認識されていない
  4. となれば、既存の検査方法・規準を適用して、一定の水準である事が確認されれば、その水がメルトダウンした地下から採取されたものであろうと、地下水が流れ込んで来た物を採取したものであろうと、外を流れる河川から採取したものであろうと、検査結果が同じであれば、同等のものとして扱って問題無いはず
  5. そうで無ければ、そういう規準を設ける意味が無いのでは
  6. 更に、そういう規準や方法を決める最大の権威であるIAEAが確認して適切であると言っている以上、その方法が確率された唯一のものといえるのでは
  7. それに対して反論するのであれば、科学的に納得出来る材料を提示するべき。そうで無ければ、それは感情論での反対であるし、それは「風評加害行為」以外のなにものではないだろう
というような思考過程を経て、現在に至っています。

今でも一部メディアは「地元の不安は」とか、自分達の主張では無く第三者の意見として取り上げることで、自分達の責任を回避しつつ自分達の主張を押しつけようとしているけれど、そういう報道では科学的にどう言う問題有り、どういう課題があるのかという事は言わない。「トリチウムが」とは言っても、それが通常の飲料水にも含まれる物質であることも言わない。他国の原発からは、福島第一原発の何倍もの量が放出されていることも言わない。韓国や中国は、日本列島の反対側に放出されるこの処理水を取り上げているのに、もっと狭い海域である日本海に放出する自国の原発の冷却水に関しては、問題無いと言うわけで、そういう矛盾すら取り上げないメディアって、結局は事実を報じるのでは無く、自分達の信じる「真実」なるものを言いたいがためだけなんだと改めて感じます。今騒いでいる人たちも、実際に海洋放出が始まれば、多分この件に関しては何も言わなくなり、別のターゲットを探し出すんでしょうね。この件だけじゃ無いけれど、そういうビジネスモデルはもう一般にも見透かされている事を、そういう人たちは認識した方が良いと思う。そろそろ厳しいしっぺ返しを受ける頃じゃ無いだろうか。 

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