昨日の地元のニュースのトップは「袴田事件」の再審請求に関して。朝からお昼過ぎまでは「今日の高裁決定はどうなる」みたいなニュースを、ローカル枠をかなり使って伝えていました。で、高裁判断が出される夕方になると、ほぼそのニュース一色に。これからどの様に裁判が進むのか分からないけれど、60年近い年月が過ぎての再審開始は、良くもあるけれどこれからの苦労を考えると、かなり大変なことだとも容易に想像出来ます。
当時の静岡県清水市、現在の静岡市清水区で味噌製造会社の一家四人が殺害された事件の犯人とされた袴田巌氏は、一旦は死刑判決が出されるも、その後再審請求を新証拠と共に出すのですが、自体は変わらず。事件発生時には、私はまだ小学校に入るかどうかくらいで、事件そのものの記憶は無いのですが、この「再審請求のやり取り」はずっと続いている話なので、記憶の殆どはこちらの話なんですよね。検察側の主張では、味噌樽の中に隠されていた血染めのズボンが大きな証拠と主張しているけれど、弁護側は証拠の血痕が1年以上味噌漬けになっていたのに、血痕の赤色が残っていると言うような主張で、証拠として偽造された可能性まで主張していたのですが、何度も却下。それが今回認められての再審再開となったので、裁判内容もこれまでとはかなり違った物になりそうな気がします。
ただ、やっぱり時間は残酷だと思うのは、ご本人の袴田氏はすでに87歳。長期の拘留などの影響で、精神的にも不安定な状態になり、実際の対応はお姉さんのひで子さんが担当しているのだけれど、彼女もさらに年上なのだから、常識的に考えても残された時間はそんなに長くない。再審は再開されたけれど、また時間が掛かるようでは無意味なわけで、これからが時間との競争になるぶん、これまでよりも厳しいと言ってもいいのかも。自分の見聞きしている範囲では、その血痕に関しての主張も無理がある気がするし、証拠として提出されている袴田氏がはいていたというズボンも、実際に着用可能サイズよりも小さいとか、どうも検察側の証拠には疑問が多く感じられます。50年以上前というと、まだまだ今ほど透明性も期待出来ない時代だっただけに、当時の捜査や証拠に無理があったことも想像されるので、判決も覆る可能性も大きいでしょうね。
一方で、その殺害された家族の親族の方にして見れば、袴田氏が無実ならば、では犯人は誰かという新しい疑問も生まれるわけで、そうなった時に真犯人を捜すとしてももう時間的に無理でしょう。遺族としては、誰かに罰を負わせることを望んでいるわけでは無く、何故家族を殺害したのかその理由を聞きたいだろうけど、それが出来ないままこの事件が忘れられていくのが、一番耐えがたいことなのかなぁ。袴田氏の再審が進むことで、多分彼の無実を示す証拠がこれからも色々と提出されていくのだろう気ど、それによって事件の新しい一面が発見されて、底から本当の意味での犯人とその犯行理由が明らかになれば、遺族の気持ちも少しは報われるのかなぁ。いずれにしても、60年近い時間が惜しまれる再審決定だと思います。
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