2022年10月21日

「いいね」は不法行為

Twitterの「いいね(like)」ボタンが名誉毀損に当たるのかという裁判で、一審の地裁判決が逆転して高裁では、原告側の伊藤詩織氏の訴えが認められて、「いいね」を押した杉田水脈衆議院議員側に55万円の賠償責任が命じられたと言う記事。個人的には、どちらの人も胡散臭い人だなぁという印象しかないので、どちらが勝った負けたには興味は無いのだけれど、ネット時代のルールとしてこの訴えが確定して、「いいね」をクリックする事がそのまま意図的行動と判断されるというのは裁判官の判断として妥当だろうか。

裁判の詳細までは見ていないので何とも言えないけれど、杉田氏側では伊藤氏を批判するツイート25件に「いいね」を押した事は、杉田氏の影響力も含み不法行為に該当すると言うのが、この裁判官の判断らしい。単に「いいね」をクリックしたことではなく、「影響力の大きい人」が1件2件ではなく「25件」とい多くの否定的意見に「いいね」する行為が問題という判断らしい。その説明は確かに最もらしく聞こえるけれど、それならばもっと影響力の大きい人だと、もっと小さな行為であっても影響力の大きさを勘案して問題になる場合も有る、と言う事にならないだろうか。例えば、知名度で言えば伊藤氏もいろいろな自由から名前が知られている人だし、杉田氏の様な公人(=国会議員)ではないけれど、影響力の大きさではそんなに違わない気がする。勿論、だからと言って何でも言って良いという話しではないけれど、杉田氏本人が発言したわけでもない内容に「いいね」というマーキング行為を下から、それはその意見の賛同を示し、従って不法行為(名誉毀損)に当たるというのは飛躍している気がするなぁ。 

よく言われているように、twitterの「いいね」と言うのは、その呟きに対して賛同を示す場合もあるけれど、twitterの機能や性質上、どんどん情報が流れてしまい後から振り返ることが難しいから、ブックマーク的に使う人も多い機能。杉田氏の意図は本人に聞かないと分からないけれど、その意図が特定出来ないという意味では「誹謗中傷した」とまで言い切るのは蒸すが椎木がするけれど。これがリツイートしているので有れば、そこはかなり明確にその意見に賛同していると解釈しても良いと思うけれど、「いいね」をクリックするというのは精々そのツイートを「見た」という程度の重みだと思うなぁ。また、「25件」というのも微妙な所で、twitterの場合一つ「いいね」すると関連するツイートがどんどん表示されるから、それをクリックしていくと多分そんな数位は直ぐに行きそうな気がする。まぁ、そんな状況でも公人ならばそれなりの理性を持って対応するべきだと思うけれど、ちょっとこの判決は無理がある気がする。

杉田氏側が控訴するかどうかは分からないけれど、少し前にあったtwitterの引用問題の裁判も、実際のスレッドを無視した「引用部分」だけの判断がされて、それは違うだろうと私は思うのだけれど、こう言うネット社会の仕組みに詳しくない裁判官が判断すると、こう言う判決になるのかなぁと今回も感じる所。何て言うか、有る時間が有って、犯人と被害者が生まれた時、実際の裁判ではその犯罪行為だけでなく、そこに至るまでの動機とか、本人以外との人間関係とか社会環境とかまで加味されて、その犯罪の内容や量刑が判断されるわけですが、今回はそう言う背景解釈せずに単に目の前の状況だけ見て判断したような感じ。それは先の引用問題も同じような構図だと思う。一方で、例えば虐め問題等は、現実社会よりもネット環境での行為の方が陰湿で当事者に対しての影響も大きいのが今の時代。そうなると、同じような行為であっても、ネットの場合とリアルの場合では、異なる尺度なり解釈を持って判断しないと、ちぐはぐな結果しか残らないんじゃ無いだろうか。

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