スポーツクラスタで話題になっている、日本バスケットボール協会が作成公開した「テクニカルレポート2021」。その背景を伝える記事(#1, #2, #3)。その内容の厚いこと、特に日本チームの弱点まで網羅した内容に、相手に漁夫の利を与えるのではと言う意見もあったそうですが、それよりも国内のチーム・コーチとの情報共有とそれによるチーム強化効果を優先して、その様な情報まで公開することにしたというのは、非常に良いことだと思う。
多分今でもやっていると思うんですが、アメフトシーズンが終わった2月とか3月になると、アメリカでは全米中のコーチが集まって、有名チームや強豪チームがそのシーズンにどんなプランを立てて、どんな準備をして、どんな結果が生まれたのか、全て公開するんですよね。それによって新しい知見を得たり、情報共有する事で自分達が抱えていた問題解決の方向性が見つかったりする事で、特定のチームだけが強くなるので無く、そのスポーツ全体の底上げに大きく貢献をしている。高校チームが強くなって優秀な人材が集まれば、大学チームが恩恵を受け、大学チームのレベルアップがされれば、NFLが恩恵を受けるという、スポーツ連鎖が機能している。また、その中には単にトレーニング方法とかだけで無く、選手育成とか人材育成みたいな話も含まれるから、途中でフットボールから離れても、第二第三のキャリアパスを見つける、あるいは道付ける切掛にもなっている。
日本ではそう言う話は殆ど聞かないので、最初そう言う全米のコーチミーティングみたいな話を聞いた時には、かなりビックリしましたが、仕事をして会社に入ると、今増えの言い方で言えば「PDCA (Plan-Do-Check-Action)」は当たり前の世界で、同じような改善活動はプロジェクトの度に行われいます。ビジネスの世界で当然という事は、アメリカのフットボール界と言うのは、ある意味究極のビジネスな訳だから、PDCA的な活動も実は普通の事だったんだと、仕事をするようになってから納得した記憶があります。ただ、仕事でのPDCAにしても、やはり問題が自分にあるとはなかなか認めづらいときもあるわけで、そこを前向きに次に向けての改善提案として、原因・対策としてまとめるだけで無く次に繋ぐことの出来るエンジニアだったりプロジェクトマネージャーは、やはり優秀な人でないと出来ないなと感心しています。
国内のアメフト界を見てみると、競技人口も少ない(学校・社会人含めて2万人程度)ので、それに関わるコーチや審判といった周辺人口も少ない。かろうじて大学フットボールがそれなりに国内でも盛んなので、そこからのOB/OGが社会人も含めてアメフト界全体を支えているような構図になっているけれど、それだけじゃ広げる事は勿論、現状維持すら出来なくなることは明らか。やはり、選手経験とかチーム活動経験も無い人も巻き込んで、段々と母集団を広げていく事を考えない駄目なんですよね。その対策の一つして、こう言う形で包み隠さず業界の状況を公開することで、興味を持ってくれる人も増えるだろうし、一番の効果は全員で問題点を共有することで、不要なことが排除されて効率化され、さらに新しいアイデアやより斬新考え方が生まれてくる可能性が高くなること。その為には、こう言う情報共有を協力に進める中心人物が必要な事は勿論、それを支持して実践してくれる中核の指導者や現場の選手の協力も必要。今回は、日本バスケットボール協会がこう言うレポートを作成した事が話題の中心ですが、実は協会自体がこう言う活動を是として実行してきたという事が、一番重要な変化であり理由だと思う。国内のアメフト業界も少しずつ変化してきているので、是非その流れに乗るだけで無くリードする立場を目指して欲しいなぁ。
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